第4話 たい焼きと転生者
※区切りの都合で今回短めです。
メリッサさんとアンナちゃんへのお土産はたい焼きに決めた。
なんでも最近出来た人気のお店らしく、女の子へのお土産ならそこがお勧めとギルドの窓口さんが教えてくれたのだ。
たい焼きはこの世界でもそこそこポピュラーなお菓子で、100年くらい前にドワーフの転生者が広めたのが始まりらしい。
転生者というのは『前世の記憶を残したまま生まれてきた人たち』のことで、
だが、ごく
かく言う僕も転生者で、思い出した時にはそりゃあ興奮しましたとも。勉強教えてくれてた村長さんから「転生者は儲かる」って聞いてたし。
その日の晩、両親と妹に「僕、転生者だったからビックになって新品の
で、思い出した記憶が『前世でコンビニで働いていた』ってことだけで、当然田舎では何の役にも立ちやない。
もうね、そこからの3年間が地獄だった。
行事で親戚が集まるたびに、必ず両親と妹が再現演劇始めるの。親戚一堂も何が面白いのか毎回爆笑の
15歳で成人を迎えた日、それ以上の
あ、千歯こぎも転生者の知識で作ったって村長言ってた。
—————————
「おかえりなさいですー」
午後3時の鐘が鳴る頃、ようやっとコンビニに帰ってこれた。
店内ではアンナちゃんが、栗色のおさげ髪を揺らしながら忙しそうにパタパタ走り回っている。
アンナちゃんの動きに合わせて揺れるアンナちゃんのアンナちゃん……ふむ、制服をワンサイズ小さくしたらどうなっちゃうのかな? とか考えながらイートインスペースを見ると、そこに
あいつ……期待のルーキーって王都タイムズに載ってたヤツだろ。ロリコンだってチクって王タイ砲炸裂させてやろうか。
「店長……」
レジからじとっとした視線のメリッサさん。シフト時間外だからか、すでに眼鏡を掛けてお姉さんモードになっている。
艶やかな黒髪を後頭部でシニヨンにした知的美人——な感じの見た目12歳。背伸びしてる感じが可愛らしい。
「遅くなって済みません。ギルド、やっぱり混んでました」
「私が言い出したことだから構いませんよ。残業代はしっかり貰いますので。
それより今、何か不届きなことを考えてませんでしたか?」
いえいえ何も考えてませんよ? それよりこれどうぞ、とばかりに買ってきたたい焼きをメリッサさんに差し出す。
メリッサさんは嬉しそうに顔を
「アンナちゃん、たい焼き買ってきたからメリッサさんと一緒に食べてきていいよ」
「シフト中なのに良いですか?」
「いいよいいよ。温かいうちに食べてきな」
「ありがとうございますー」
嬉しそうにバックヤードに向かうアンナちゃんに、保冷庫の薬茶を2本持たせてあげる。
2人ともあんなに喜んでくれると、何だかこっちも嬉しくなってくる。教えてくれたギルドの窓口さんに感謝だな。
しっかし、アンナちゃんがバックヤードに行った瞬間に店から出てく男多すぎだろ。
アンナちゃんの種族のドワーフは男女ともに低身長で、男はずんぐりむっくりの髭もじゃで有名だ。
しかしドワーフの女性は、ちょっとくせっ毛ながら細身の巨乳美人さんが多く、性格も男ドワーフとは正反対に健気で相手を立てるタイプが多いと他種族の男性からも大人気である。
アンナちゃんは正にその理想を体現したようなものなので、そりゃあファンも出来るよね。
ちなみにコンビニの店員さんが2人ともロリ系なことから、
「こんにちわー、王都タイムズのお届けに参りましたー」
おっ、今日の配達はカミラさんか。
アリスの件、カミラさんの注意勧告の記事で助かったからお礼言っとかなくちゃ。
あとは何かセイシュー屋の情報とか教えて貰えないかな。
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登場キャラの外見説明をしていないことに昨日気付きました。済みません(汗)
メリッサ 黒髪ロング 仕事中お団子
眼鏡時切長 仕事時大きく丸目
アンナ 栗色ミディアム 仕事中おさげ
垂れ目がち
アリス 銀髪片耳掛ロング 冒険時ポニテ
吊り目がち
カロルド イタリア男 ケツアゴ タレ目
ショートがいない……。
後は金髪縦ロールがその内加入予定です。
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それではまた次話で。
異世界コンビニ繁盛記 @kajiman
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