レトロゲームハンター木場!

三題噺トレーニング

レトロゲームハンター木場!

 街のレトロゲームハンターこと木場 浩一は、近隣の小学校では知らない人間などいないくらい有名なレトロゲームマニアだ。

 木場は街にある中古ゲーム屋でレトロゲームを見つけてはそれを買ってプレイすることを生き甲斐としていた。

 木場は新聞配達のアルバイトをしたり、おつかいに行ったりして貯めたお小遣いでレトロゲームを買い漁っていた。

 欲しいレトロゲームは何でも手に入れる。木場が今一番欲しかったゲームはスーパーファミコン版『エリア88』だ。

 お小遣いを貯めてようやくゲームショップで買おうと手を伸ばしたところ、パーカー姿の少年が浩一の隣で手を伸ばし、その手に触れた。

「なにっ!?」

「このソフトに先に目をつけたのは僕だ!」

 パーカーの少年は隣のクラスの美濃部だ。

 美濃部は木場のライバルで、ことあるごとに木場と争う中だった。特にレトロゲームにおいては、どちらも譲らなかった。

 少年が2人、時に互いに譲れないものがある。

 そう、欲しかったレトロゲームが被ってしまうことなど、この2人には日常茶飯事なのだ!

「「ジャッジー!」」

 こんな時は街のゲームショップの店長、裁 正和の出番だ。

 裁が号令を発すると、ゲームの試遊台にエリア88のソフトがセットされた。

 ルールは簡単、2人それぞれがゲームをプレイして、先まで進んだ方に買う権利が与えられる。先行は美濃部。

 エリア88は横スクロールのシューティングゲームだ。それぞれ特徴のある3人のキャラから1人を選択して進めていく。

 美濃部はリーゼントのアメリカ人、ミッキーを選んでゲームを進める。武器追加アイテムが強化されやすいキャラを選択するも、序盤の森が抜けられずにあえなくゲームオーバー。

 まあこんなもんかな、と言いながらも美濃部は恥ずかしそうにパーカーのフードを被って紐をきゅっと締めて顔を隠した。なんだかんだでそういうところは小学生なのである。

 森を越えれば勝機はある! 勢いこんだ浩一が選んだのはグレッグだ。このキャラは回復が早いという特徴がある。

 撃たれながらも回復しながら前に進むというゾンビ戦法をとる浩一。

 撃墜されろー撃墜されろーという美濃部の念を背中にひしひしと感じながらも、浩一はどうにかして森を超えて1面をクリアすることができた。

「やったぜ!!」

 嬉しそうにソフトを買う浩一に「くっそ、覚えてろよ! 後で遊びに行くからな!」と美濃部は捨て台詞を吐いて走って帰っていく。

 こうして街のレトロゲームハンターの名を今日も守った浩一。次に2人が勝負にまみえるのはどのゲームなのか。

 2人の活躍に目が離せないぞ!

 ちなみに後日、約束通り美濃部は浩一の家に行って一緒に『エリア88』で遊んだという。なんだかんだで仲良しの2人なのだった。

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