第39話 メリーとの思い出を3
咲は朝ごはんを食べた後すぐに帰ってしまった。
どうやら、体重のことを俺に言われて怒ってしまったらしい。
でもさ、考えてみて?
人の頭なんて誰でも重たいに決まってるじゃん。
だから、脚に頭を乗せられたら意外と重く感じるんだよ。
ということは、体重とか関係ないってことだ。
男なのに情けない?
でも俺は運動部じゃないし、そもそも運動そんなに好きってほどじゃないから筋肉なんてそんなにない。
耐えられなくて当然当然……。
『ゆーまくん!』
「なした――――って、相変わらずメリーは俺にくっつくの好きだな」
『だってメリーはゆーまくんのこと大好きですからね! どうですか? ゆーまくんもメリーのこと好きですか?』
「もちろんだ。俺もメリーのこと好きだからな」
『そ、そうですか……』
「何で聞いた本人が照れてんだよ……」
『だって……不意打ちですよそんなの』
「不意打ちでもないと思うけど……? 俺は普通に正直な気持ちで答えただけだ」
『それを不意打ちって言うんですよ……。全くもう……』
ちょっと不満なのか、頬を膨らませているメリー。
別に俺は本当に正直に答えただけなんだけどな。
『あの……ゆーまくん?』
「ん、何だ?」
『メリーは……幸せです』
「ど、どうした急に……」
『いえ、何故かは分からないですけど、急に言いたくなっちゃいました。なので言わせてください』
そう言うと、メリーは体勢を変えて仰向けになった。
いやこれ、あまりにも無防備な格好に見えてしまうな……。
大丈夫かなこれ……。
『まさか、ゆーまくんと付き合える日が来るなんて思ってもいませんでした。メリーがこの姿になってから、ずっと孤独でした。幽霊になれば、メリーに同情する人なんて1人もいない……。そんな時に、メリーはゆーまくんを見つけることが出来ました。幽霊のメリーでも、同じ人と接してくれるのがすごく嬉しかったんです! だから……ゆーまくんには感謝しかありません。ありがとうございます、ゆーまくん!』
「メリー……」
メリーはもともと俺たちと同じ、生きていた人間だったことは前に聞かされている。
しかも、メリーの前世の最期はかなり酷くて悲しいものだった。
それからずっと、孤独の死後の世界を彷徨ってきた。
それも、すごい長い時間を過ごして……。
って考えると、メリーが俺のもとに来たのは運命なのかもしれない。
「俺だってメリーには感謝しかない。ずっと友達できなくてさ、唯一の友達が咲だったから物足りない感じがあった。でも、メリーが来てから、俺も咲も今まで以上に楽しい毎日を送れるようになったんだ。だから、メリーの存在は大きいよ。こちらこそありがとな、メリー」
『――――! な、なんか恥ずかしいですね……。おかげでゆーまくんの顔見れないです……』
「なんで視線を逸らすんだ? 俺はメリーの顔もっと見たいけどなぁ〜」
『やめてくださいよ〜! すごく恥ずかしいですから!』
「じゃあ、恥ずかしがっているメリーにはこうだ!」
『――――!?』
俺は勇気を出して、メリーにキスをした。
唇から、メリーの唇の感触が伝わる。
何度も言うけど、なんで幽霊の状態なのに感触がわかるんだろう……?
まあ、気にしてもしょうがない。
『――――んっ、はっ』
ただのキスじゃ物足りなくなってしまい、舌も絡ませ合った。
やばい、色気ありすぎる。
メリーってこんなにエロかったんだな。
『はあ、はあ……。ゆ、ゆーまくん……きゅ、急にどうしたんですか……?』
「何でだろうな? 俺にもよく分からないけど急にこうしたくなった」
『そ、そうなんですね……。あの、もう一度してくれませんか?』
「お、おう」
今度はメリーからの要望で、俺たちは再びキスをする。
さっきよりも、長い時間で……。
『はっ、ちゅっ……んっ……はあ、はあ……。ゆ、ゆーまくん……』
「メ、メリー……」
もう、自分を止められなそうでやばい気がする。
あ、なんか思い出した。
これ、多分咲に誘惑されそうになった時と同じ状態に近づいている気がするな……。
でも、あの時は無理やり咲にやられただけだったけど、今回は違う。
逆に俺からもメリーを誘惑しているような気がする。
『メリーは幸せです! 初めて『恋』というものを教えてくれました。ずっと孤独でした。約20年間、ずっと……』
「に、20年間……。そうだったのか……」
『そういえば、ゆーまくんにはまだ伝えていませんでしたね。実はそうなんです。20年前からずっとこの姿なんです』
「えっ、ということは……今何歳?」
『メリーはずっと高校生のままですよ! おばさんとかじゃありませんから! ただずっと高校生の年齢をループしているだけです! 心は高校生のままです!』
「あ、はいごめんなさい!」
めっちゃ詰め寄られてしまった。
『あれ、もしかして……おばさん?』とか、そんなこと思ったりしてないし……。
『――――思ってたんですね。メリーはおばさんだって思ってたんですね!』
「ご、ごめんなさい! 許してください!」
『許してほしいんですね?』
「は、はい……」
『じゃ、じゃあ……もう一回キスしてくれますか……?』
「わ、分かった」
メリーに言われるがまま、俺はまたメリーにキスをした。
こんなので許されて良いものなのかと疑問には思ったけど……。
『んっ……はあ、はあ……。こ、これで許します』
「あ、ありがとうございます……」
顔を離すと、息を乱しながら俺を見つめてくるメリーがいた。
やっぱり色気ありすぎる!
メリーは小柄な体型で、体のパーツの一つ一つが細い。
脚も細いし、腕も細い。
それに……む、胸も大きくない。
ちょっと子どもっぽい見た目だ。
だけど、そんなことを感じさせないほど、今のメリーはヤバいくらい色気がある。
どうしよう、本当に俺が俺じゃなくなるかもしれないな……。
「メリー、これ以上はやめよう! 俺がヤバいことになりそうだから!」
『やめません! これからもっと、メリーはゆーまくんとイチャイチャしますから! べ、別にメリーを襲ったって何も言いませんよ……?』
「――――!?」
ここから、俺は耐えるのに必死だった。
容赦なく攻めてくるし、俺も理性を保つので精一杯だった。
まあ、ちょっと手を出してしまいそうになったけどな……。
メリーさんは俺に憑いてる うまチャン @issu18
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