第3話 お金と人集め①
この服屋の仕組みは単純だ。経理・財務の人には馴染み深い「増加運転資金」の話だ。その前に「運転資金」の話をしよう。「運転資金」とは企業が事業継続する上で必ず用意しなければならないお金のことだ。通常、会社同士の販売ではその場でお金は支払われない。モノを先に渡して販売代金は2ヶ月後など数ヶ月後になる。つまり、1000円で販売したが、お金が支払われるのが2ヶ月後。しかし、500円の仕入分の支払は1ヶ月後に発生する。2ヶ月後には確実に払えるものの、販売から1ヶ月後時点では支払いが困難な状態となる。急激に販売が増えるとその分だけ立て替えるお金だけが増える。それが増加運転資金だ。
さっきの服屋の女性、パメラからは聞いた話によると、この街では簡単に商売を始められるらしい。登記や難しい申請とかはあまり無いくらい街としての機能は発展していない。商売許可を得たら、利益の10%を役所に払うだけでよい。
ガビルズ商会のような悪徳業者しか貸金業者しかいなければ、街の今後発展には厳しいだろう。それに俺自身が生きていくにはこの方法しかないだろう。銀行をつくることだ。
この世界で銀行機能として一般人に訴求してくポイントは「お金の管理」、「金利」を付けるの2つだ。規模が拡大すれば支払代行という名の振込も始めていけばいい。会社経営者に対しては運転資金や設備資金の貸出で、金利収入を得ていく。その一部を一般人に還元していく。最初に取り掛かるべきは「お金集め」だが、集めるために重要なのは「お金の管理」を任せられる問題ないという印象付けだろう。それには俺1人では到底成し得ない。一緒に仕事してくれる仲間が必要だ。
頭の中で、今後のビジョンについては整理できた。次は行動だ。とりあえず、仲間集めは商売許可を得てから考えることとする。役所に向かう途中、求人情報がまとまっている施設を見かけた。人が溢れかえっている。この街からは活気を感じていたが、これだけ職を求める人がいるというのか。見ていると
「兄ちゃんも仕事探しかい?見たところ、軍人上がりじゃなさそうだけど。」
「いえ、僕はこの街に来たばかりで、これから商売の申請をしに行く途中です。」
「そうかい、ここの連中とは違うわけだな。ここで仕事を求める多くは、戦争の都度、給料が高いとかで軍人になって、戦争が終わると普通の仕事を探して、でもって、また戦争が始まると軍人になる。正真正銘の荒くれものさ。」
「それはまた凄い話ですね。」
「それでも、この街で良い暮らししている連中なんざ、そんな奴かガビルズ商会のやつらさ。」
なるほど、この街の仕事は余程稼げないらしい。ちょうど良さそうだ。彼らは戦争終わりで今はお金を持っている。おそらく力は強い。良い人材ではないだろうか。人格とかは心配な面は多いが、面白い仲間がいそうな気がする。お金の管理の手法の1つにはなりそうだ。
異世界行って銀行屋さん始めました! 筋男 @zuzy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界行って銀行屋さん始めました!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます