タニオリ島収集雑記

多聞

国立世界博物館創立前

 民族資料収集のため、私はタニオリ島を訪れた。客引きを何とか振り切って日本大使館へ。友好的な雰囲気に肩の力が抜ける。輸出方法を確かめると、私は早速調査に赴いた。

 最後の締めとして選んだのは、町の外れにある博物館だった。歴史を感じさせる建物と充実した展示。雰囲気に圧倒されていると、学芸員の青年と目が合った。誘い込まれるようにして奥の部屋に向かう。

 厳重な扉の先に見えたのは、たくさんの顔だった。これらはある部族の宝だったといわれています、と青年が静かにつぶやく。様々な表情をした仮面には、どれも口がなかった。

 部族の行方は分かっているのですか。いくら疑問をぶつけても、青年が口を開くことは二度となかった。

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タニオリ島収集雑記 多聞 @tada_13

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