第2話
深夜の2時。
向かいのバー「ヴァイオレット・カーテン」から軽く十人は超える男たちが歩いてくる。
手には金属のバットに鉄パイプ。
ナイフは見当たらないけど、きっとある。
俺たちの武器は拳だけ。
バーの入り口から飛び出した俺の右腕が、一人の男の頬を抉った。
ヤスの蹴りにクグマのタックル。
俺たちは相手の武器なんて、はなから見ていないんだ。
バットを軽く避けて、中段蹴りと同時に頭突き。
相手はすぐに倒れた。
これで二人目。
その時、「パーンッ」って、爆竹のような破裂音がヴァイオレット・カーテンの方からしたんだ。
振り向くと。
ヤスが倒れていた。
これには抗争を見ていた「リボルバー」のマスターも黙ってはいない。
幅が広い肉切り包丁を振り回して、向かいのバーへと殴り込んだ。
「え……?」
数分の出来事だったと思う。
ライフルを持った女性にマスターが土下座していたんだ。
その女性はここから見ても凄い美人だった。
「結婚してくれ! 頼む!」
マスターの言葉が俺の耳に残った。
こうして、俺たちの抗争は壮大な結婚式という派手な終わり方をして決着がついた。
俺にはあの時の記憶があるんだ。
初めて「リボルバー」に来た「ヴァイオレット・カーテン」の奴はガラの悪い男だったんだ。
なので、抗争が始まったんだけど。
確かに覚えているんだ。
その後ろにいたスエタ街一の美人ともいえる女性がいたことを……。
次の日。肩に包帯を巻いたヤスと首を斜めにしているクグマと酔ったハルと一緒に、俺たちの街に帰ることになった。白黒猫もついて来た。
明日からつまんない現実での授業かー。
かったるいなー。
けど、今日は面白かったなー。
だから、やめられないんだ。
授業中の妄想は……。
リボルバー 主道 学 @etoo
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