第30話 定期テスト
定期テスト当日。
定期テスト約二週間前から、ほぼ毎日のように勉強会を開き、分からないところがあったらその都度教えてもらった。
俺の好きな人である
いつもは320人中160位くらいの平凡な俺だが、今回はもう少し高順位を狙える気がする。
俺の幼馴染である
――ずっと目標だった順位二桁を取る日が、とうとうやって来たな!
今回のテストは国語系二科目、数学系二科目、理科系二科目、社会系一科目の合計七科目だ。
そしてこの七科目を二日に分けて、テストを行うことになっている。
「
「ああ、吉田のお陰で今回は自信があるよ。ありがとうな」
「いえいえ。人に教えると自分も勉強になるから、お互い様だよ」
吉田は本当に良い奴だ。
こいつと友達になれて、本当に良かったと思う。
「そろそろテストを始める。席に着け」
それからは順々とテストを行い、高校生にとっての地獄な期間、定期テスト期間は無事終了した。
「やっと終わったね〜!」
「疲れた……」
「テストも終わったことだし、皆で打ち上げでもしないかい?」
「「賛成!」」
テストが終わり、吉田の打ち上げの提案によって、勉強会を行ったメンバーでファミレスで打ち上げをすることに決まった。
疲れたから早く帰りたい気持ちもあるが、最近は勉強ばかりで全然遊んでいなかったし、遊びたいという気持ちの方が強い。
でも一つ、ずっと気になっていたことがあった。
「なぁ吉田」
「ん? どうしたの?」
しかし、こればかりはあまり大きな声で言っていいことではないため、吉田に手招きして耳元に口を寄せる。
「折角テストが終わったのに、彼女と過ごさなくてもいいのか?」
「大丈夫だよ。明日約束してるから」
吉田は定期テスト二週間前から、放課後はほぼ毎日のように俺たちと過ごしていた。
いくら皆に隠しているからって、彼女と全然過ごさないのはどうかと思うが、吉田が大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。
「そっか、悪い。変なこと聞いて」
「ううん。心配してくれてありがとう」
「
その後、俺たち四人はファミレスに行って打ち上げをし、それぞれ帰路に就いたのだった。
次の日――運命の順位発表の日、俺はいつもより緊張しながら美羽と登校していた。
美羽もいつもより頑張ったから順位上がってるはず! と言っていて、順位を知るのが楽しみらしい。
順位はテスト返しが終わった後、放課後に掲示板に貼り出される。
自分の順位が学校の全員に知られるのはとても恥ずかしいが、学校の決まりなので仕方がないだろう。
そして、運命の順位発表の時間がやって来た。
放課後と言っても、放課後になった瞬間は掲示板に人がたくさん集まるため、少し時間を置いてから順位を見に行くことになった。
放課後になってから三十分ほどが経ち、俺、柊木さん、美羽、吉田の四人で掲示板に向かうと、やはりまだ掲示板の前には人がたくさん集まっていた。
しかし俺たちが来た瞬間、集まっていた人たちは俺たち四人が掲示板の目の前に行けるように退き始めた(わざわざ待つ必要なかった気が……)。
恐らく柊木さん、美羽、吉田のお陰だろう。
本当に恐れ入ります……
「やっぱ柊木さんえぐいて……」
「うわ〜! 吉田くんもすごいね!」
「全然そんなことないよ」
柊木さんは320人中1位、そして吉田は3位だった。
俺と美羽に勉強を教えながらのこの順位は、本当にすごいと思う。
くそう天才め……俺に少しは知識を分けてくれ……
と心の中で思っている俺はというと、98位。
いつもよりは順位が上がっているが、学年1位と3位に教えてもらってこの順位は不甲斐ない。
でも、目標だった順位二桁は達成できている。
そして、万年赤点ギリギリの美羽は爆発的に順位が上がっていた。
学年118位。
前回までは300位より少し上か少し下かの順位だったはずなのに、ものすごい勢いで順位を上げている。
…………ん?
ちょっと待て、あともう少しで俺、抜かれちゃうんじゃないか!?
「あれ〜? いつもテストの時は『馬鹿だなー』とか言ってた晴は、今回あまり私と変わらないね〜。次のテストは私が勝っちゃったりして〜」
案の定、俺と順位が近いのがわかった美羽は、俺を煽りに詰め寄ってきた。
「柊木さんと吉田のお陰だろうが! 次は大差をつけて勝つから覚えとけよ!」
「ふ〜ん? 言ったからね? もし次のテスト、私が勝ったらどうする?」
美羽がテストで俺に勝つだって?
そんなの無理に決まって……決まってる!
「その時は‴何でも‴言うことを聞いてやるよ」
俺も次のテストは、今からでもコツコツと勉強を始める予定だし、負けることはないはずだ。
でも美羽は勉強が大嫌いだし、さすがに毎日のように学校以外で勉強をしないだろう。
「やった……約束だからね〜!」
「おう!」
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