魔女・ジェシカに使えている少年・ハンス。彼は、ジェシカに連れられて、初めて魔女集会に出席する。魔女と人間の超えられない境界線を描く異世界ファンタジー。物語世界背景の壮大さを、三千文字ちょっとの中からでも感じることが出来ます。ジェシカとハンスの関係について、その真実を知った後では、様々な感想が去来すると思います。答えのない所も、この物語の良い点だと思います。
少年・ハンスが、茜色した光景を見る時に、脳裏に浮かぶモノは、夢か現か幻か――魔女・ジェシカの従者として、彼女を慕い、仕えるハンスには、ひとつの制約があった。その制約を犯すと、ハンスは異変を来たす――茜色した空を見てしまうと。茜色した思い出へ誘われる少年。魔女がその思い出を忘れさせるのは、慈悲か、呪縛か。短い中にも、利他と利己の相剋があり、それが哀切として読む者に響く逸品です。