【戯曲】悲しくて

六景

後ろに文章※ルノワールが読む

『全てが夢もしくは現実ならばと都合よく願う。あまりにも出来すぎているときは。だって後片付けが大変。良い部分も悪い部分もごちゃ混ぜになって気づいた後にはもう遅い圧倒的な事実だけ置かれて私は生きていく。何を起こそうとかはじまった終わった。考えるの鬱陶しい。もうなんでもいいよ。私は生きていくんだ。それだけだったんだ』

明転

降雨

ルノワール女の子座りして舞台中央に座っている

人々は傘をさして歩いている

バニーガールがルノワールに傘をさす

バニーガール　濡れますよ。

ルノワール　もう濡れてます。

バニーガール　貴方はどうして此処に。

ルノワール　わからない。

バニーガール　そういうことってありますよね。

後ろに文章　

『雨は総てを洗い流す。残るのはいつも私。私だ』

バニーガール　行くあてはあるの。

ルノワール　わからない。

バニーガール　私んちくる。

ルノワール　いかない。

バニーガール　そう。

バニーガール、ルノワールに傘を渡す。

バニーガール　祝福を。幸福を。せめてもの幸せを。

バニーガール、群衆に消える

ルノワールしばらくして急に立ち上がる

ルノワール　祝福を。幸福を。せめてもの幸せを。

何度も発言しながら群衆に消えていく

暗転

幕