第4話

彼は散文詩の様なものを公開すると、

そのまま眠ってしまった。


小学校高学年の娘は、

まだ、起きている。

読書好きである。

特に恋愛もので大人の愛を好んでいる。


父親が自室の机の前で寝ているのを見つけて、

そっと毛布を掛ける。


机を見るとノートパソコンが開かれたままである。

スイッチを切り忘れているかもしれない。

そう思って適当にキーを叩くと。

適当に単語を並べたとしか思えない散文詩の様なものが現れた。

名は虚無の旅人。

娘から見ると、

当然父親が書いたものであることが分かる。


読書好きの娘から見れば、

間違いなく駄作である。

然し何処となく気持ちが分かる。

情けないことに単なる気持ちの表現であって、

人に伝えようとしたものではない。

そう思うと理解できた。


然し

こんな駄作の散文詩を読もうとする人など何処にいるのだろうか?


それからは父親のパソコンを開けては、

既読の調査とコメントの有無を確認するのが日課になった。


父親は知らない。

もともと読んでもらうことが目的で公表した内容ではないのだから、

置き放っしのサイトである。

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