キュウカンバ伯爵家のピクルス大佐ですわよ!

第5話【ザラメ】

 皆様こんにちは、今日から旭弐きょくに入造いるぞうに代わって、この番組の司会を担当させて頂くことになりました緑灯りょくとう鮭菜しゃけなです。これからも、この公開生放送番組『キャラクターに突撃インタビュー』を引き続き、ぜひともご覧になってください。

 それと現場でインタビューをする担当も玄馬げんば幾子いくこから、今年八月まで放送されていましたMHK大河ドラマ『多人駁論たじんばくろん』で子役としてデビュー、いまや押しも押されもしない大人気の葦多アシタ楢尾ナラオちゃんに、バトンタッチとなりました。

 それでは早速、ナラオちゃんを呼んでみましょう。


「ナラオちゃーん!」

『はぁ~い♪』

「ナラオちゃん、こんにちは!」

『あ、こんちわー』

「今日から、この番組の担当と云うことなので、最初だから、ちょっと自己紹介、してくれますか?」

『あ、はい。えっと、ボクの名前はアシタ・ナラオです。十一歳です』

「小学生なのかな?」

『うん。あ、はい。えっと、小学五年生です』

「あーそうですか、若いですねえ~」

『はい! あ、でも、オバさんだって若いです』

「へ、あっ、はい。ワタシも、まあ若いつもり。あは(ち、オバさんかよ!)」

『オバさん何歳?』

「え、ええっとナラオちゃん、自己紹介はこのくらいで、インタビューの方、そろそろ始めてもらっていいかな?」

『うん。あ、はい!』


【画面内容が切り替わって、ヤポン神国の金団湾が映る】


「こんちわ、ザラメくん!」

「はい、こんにちワン!」

「あはは、こんにちワンだって! じゃあインタビュー、準備いいですか?」

「シュアー!」

「え?」

「あ、すみません。シュアーは、もちろんいいよ、と云う意味です」

「ああそうなのか! それじゃあ始めるね。お名前は?」

「ザラメです」

「ファーストネームは?」

「ザラメです」

「へえ、そうなんだ。じゃあファミリーネームは?」

「ないです。あえて云うなら、キュウカンバ伯爵家の第三執事カルメイラ、です」

「キュウカンバ伯爵家の第三執事カルメイラ‐ザラメくんだね?」

「はい」

「そうかあ、じゃあ続けるよ」

「どうぞ」

「二つ目の質問。年齢は?」

「三歳と五か月です」

「えええっ、ボクより下なんだね!」

「まあ犬ですから。これでも成犬ですよ」

「ああそっか。ザラメくんは犬なんだもんね。じゃあ三つ目の質問。種族は?」

「セントバーナード犬です」

「ふうん、そっか。じゃあ次は出身地」

「チョココロネ山脈です」

「えっと、それどこにあるの?」

「ゲルマーヌ国とフランセ国の境界にあります」

「その国はどこにあるの?」

「ウムラジアン大陸にあります」

「そうなんだ。じゃあ次の質問、髪の色と目の色は?」

「髪と云いましょうか、体毛は薄茶色です。目は目玉が白くて瞳が黒です」

「では、外見の特徴は?」

「もふもふした犬です」

「ご職業は?」

「キュウカンバ伯爵家の第三執事であると同時にヴェッポン国自衛軍の軍曹です」

「学歴は?」

「通信教育で、ヴェッポン国立パスタ大学、犬文学部哲学科の比較犬類学専攻で博士課程まで修了しました」

「え?」

「あ、すみません。難しかったですか。簡単に云うと犬の研究です」

「あ、そうか。犬だもんね。じゃあ、家族構成は?」

「独身です」

「お父さんやお母さんは?」

「実は、みなし子なので」

「そっかあ、寂しいね?」

「いいえ、自衛軍の仲間やピクルス大佐がおられますから」

「そっかあ、よかったね。性格の特徴は?」

「マジメで忠実です」

「あー、判る判る! それじゃあ、好きなものは?」

「ワンちゃんに骨ボーンのカルボナーラ味です」

「えっと、辛口ですか?」

「いえ、チーズ味です」

「特技は?」

「雪山での遭難者救出です」

「へえ~、偉いんだね!」

「どうも」

「えっと、それは必殺技ですか?」

「いいえ、相手を殺すのではなく、救うのです」

「成功率は?」

「100パーセントです」

「へえ、すごーい! 100パーセントバーナード犬だね。あはは」

「いえ、それほどでも」

「嫌いなものは?」

「ありません」

「苦手なものは?」

「デッサンのモデルです。長時間同じポーズを続けなければならないので」

「好きな食べものと嫌いな食べものは?」

「好きな食べものはワンちゃんに骨ボーン各種で、嫌いな食べ物はネギ類です」

「好きな色と嫌いな色は?」

「黄瓜色が好きで、嫌いな色は特にありません」

「犬的に好きなのはどんな犬?」

「どんな犬でも好きです」

「苦手なのはどんな犬?」

「苦手はありません」

「恋人にするならどんな人?」

「やはりピクルス大佐ですね」

「一番の友達は誰でしょうか? またどんな人でしょうか?」

「第二執事のチョリソール大尉です。ナイスガイですよ」

「なんでも願いが叶うとすれば、どうするの?」

「まあ自分はバイプレーヤーなのですが、できればマーズ放送協会の土曜時代ドラマ『小豆こまめの女房』で、主演の小豆をやってみたいものです。あるいは、ハウゼズ名作劇場で、画家を目指す少年と一緒に生きる忠実な犬の役なども」

「もし生まれ変わるなら、どうなりたいの?」

「ムスクウリ王子です」

「どんな死に際に憧れますか?」

「ムスクウリの種になります」

「最後に一言、登場作品の宣伝をしてもいいよ!」

「自分が出てくるWEB小説、キュウカンバ伯爵家のピクルス大佐ですわよ! をお読み下さい。自分も活躍しています」

「どうもありがと、ござました。今回はザラメくんでしたー。それじゃあ、スタジオにいるオバさーん、あとはお願いしまーす」


【MHKアウストラレ高原スタジオ内にいる緑灯アナのムスッとした顔が映る】

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キャラクターに突撃インタビュー 紅灯空呼 @a137156085

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