第4話【アワク】

 ずいぶんと寒くなってきていますが、今日もこのマーズ放送協会アウストラレ高原スタジオに、お足をお運び下さいまして、まことにアリガトウございます。

 また、テレビをご覧の皆様も体調など崩されてはおられませんでしょうか? くれぐれもお気をつけくださいね。

 さてさて本日もまた、元気いっぱいの生放送でお届けさせて頂きますよ~。

 えー、今回は前回に引き続きまして、大人気の小説サイト・カクヨムさんに投稿されていますWEB小説、ゲーム音楽はお好きですか? に出演されておられるキャラクターさんに突撃して楽しく、そして真摯なインタビューをさせて頂きますよ~。

 では早速、現場にいるアナウンサー、玄馬幾子げんばいくこを呼びます。


「現場の玄馬さ~ん!」

『……』

「玄馬幾子さん?」

『あぢぁ、胸ムカムカだよ~。おでんに肉まんに鯛焼きにシュークリーム、さすがのわたしだってムリ、もうこれ、うっぷ』


 わー、わぁー! ピィー、ピィ――ッ、ピィー!!

 えと、失礼しゃいした。コマーシャルです!「CM、早く早く、CMだっての!」


【画面が急に切り替わり、スポンサーによる胃薬を宣伝する映像が流れる】


 あ、先ほどは音声が乱れまして、大変失礼をいたしました。

 えー、ようやく混線が回復して玄馬さんとつながたったようです。


「玄馬さぁん?」

『あれ、このキャベツ強酸、食前って書いてあるけど?』

「玄馬さん、玄馬幾子さーん! まだ聞こえませんかぁー!!」

『げっ、ほっほあ、ヘイヘーイ! よおーく、聞こえてきましたよ~』


 ふっ、なんとか聞こえたみたいですね。あはは。

(くっそぉ、なにがキャベツ強酸だ! 今回ばかりは絶対許さんかんな!!)


「ええっと、玄馬さん、今日もまた十億年前のアースですか?」

『はい。あ、ちょっと違います。十億五年前のアースにきています』

「ええっ、十億年前のさらに五年前ですか!?」

『はーい! 今日インタビューをさせて頂くことになっている、ナガノ県立・シンシュウ第一ミソ高校で音楽科の教師をされている先生さんが、二年生の授業でレッスン中なんですよ~』

「ええっ、授業中に突撃するのですかぁ!?」

『ヘイヘイホー、そうなんでっすぅ~~、ゴホッ! うぅ~』

「わー、それではなるべく他の教室での授業に差し障りがないよう充分に気をつけてインタビューお願いしまーす!」

『はぁーい、わっかりまし、ごほっ! うっ、げほ、うぇ~』

(おいおいおいおい、一生のお願いだから絶対こらえろーっ!)


【画面が切り替わって、シンシュウ第一ミソ高校の第一音楽室が映る】


「先生、こんにちは!」

「どうもこんにちは、ようこそ」

「あ、はいはい、ようこそ・ここへ♪ クック・ドゥー!」

「は……?」

「あースミマセン、スベっちゃいましたね。えーと、では早速ですけど、お約束していましたインタビュー、準備よろしいでしょうか?」

「はいどうぞ」

「最初の質問。お名前は?」

淡口アワク奏酢ソウスです」

「おおっ、珍しいお名前なんですね。ウスクチソースさんかと思いましたよ」

「ええ、よく読みまちがえられてしまうんです。あはあは」

「ファーストネームは?」

「奏酢です。淡口奏酢でフルネームなので」

「あっ、ソースねっ! なんちって。て、あれっ?」

「……」

「あ、あの、怒ってます?」

「いいえ。どう返せばよいのか判らなくて……」

「ああ、ギャグとかあまり興味ないのですね?」

「ええまあ、そんなところです」

「はいでは、二つ目の質問。年齢は?」

「三十九歳です」

「ああ、はいはい、年相応って感じですね。では三つ目の質問。種族は?」

調味料類ちょうみりょうるい。なんつってソース味、みたいな、あぁ」

「ええっ……!?」

「あのスミマセン。僕もギャグを少しは飛ばしたほうがいいのかと、番組的に」

「あ、あっスミマセン! なんか付き合わせてしまったみたいです、スミマセン」

「あ、いえいえ、そんなそんな!」

「いえこちらこそ。て、あー、ええっと次です。出身地は?」

「ナハ」

「あっ、それもギャグですか。ナハハ、ナハ・ナハって?」

「違います」

「ああ、またスミマセンでした! えと、髪の色と、目の色は?」

「髪の色は黒。目も黒です」

「はいはい、ギャグなしの見た目通りです。えー、では次、外見の特徴は?」

「よく人からは、ジョン・レノンとシューベルトを足して2で割ったような顔をしていると云われますね」

「ナハハ、たしかに! ナハ・ナハ、ゲホッ、ううっ……」

「あれ、どうかしましたか?」

「……うっぷ、うぇ~~~~」


【急にマーズ放送協会アウストラレ高原スタジオ内が映る】


 えーと、いくつか質問は残っていますが、アワク先生は、まだ授業の途中と云うことですので、音楽のレッスンに戻らなければいけないそうです。

 あー、ですので、たいへん残念ではありますけれども、本日のインタビューはこれにて終了となります。

 今回の突撃レポートは音楽科教師のアワク・ソウスさん、でしたぁ!

(うっわー、やべえぞぉこれ……)


【画面が切り替わり、七分三十秒間、スポンサーによるCM映像が流される】

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