眉月1
イエライは何度目かの欠伸を噛み殺す。
昨夜、奇妙な男に薬草を渡して帰ってきたら、そのうちに空が白んできたので、睡眠という睡眠はとれなかった。
「...で、アルビオンの輸送経路として、ルシオラとルードスが共同で事業展開するとのことです」
「そうか、それでそなたはどう考える。バレリアン」
「独占契約のようですから、問題はないかと。
先ほどから報告を述べているのが、柴色(ふしいろ)の長い髪を撫でつけている壮年の男。
バレリアン·クノク·ドゥ-ンフォルト。アウローラの宰相だ。
彼の言葉が右から左へになりつつある。内政から外交についての議題にうつっていったところで、余計に睡魔がイエライを襲った。
「どうした、イエライ」
「い、いえ。何でもありません。父上」
「気が抜けているようだ。気を付けろ」
指摘され、肝が冷える。
入り口から一番遠い円卓の端に座すのは、ロヴァル・マース・チャハ・カスラーン。
灰色の髪を後ろにかきあげ、戴きに輝く王冠。アウローラの王にして、イエライの父であり、東大陸、地宮の現12協定の長を勤める。ロヴァル王に驚嘆したルテオラの王が、我が子に小さな王と名付け、萎縮したことは記憶に新しい。
ここは文官と議員が集まっている会議場だ。今は報告事案を次々に文官が読み上げている。
十になると、王族の男子はこの月例会に参加する決まりがある。イエライはその最前列で王の向かいに座している。
円卓は、上下関係のない議会をとのことでもうけられているのだが、最前列に王族が座すると決まっていた。円卓を囲って、円形に椅子が配置されている。大体百名程度が収容できるつくりだ。
月例会は政治の議案が烏兎会、つまり議会に行く前の通過点でもある。社交の場でもあり、国事に関わるまたとない場であることから、議員はこぞって参加したがる。だが、ここに招集されるのは、当日の議案に関係ある議員と文官が主で、他は抽選になっている。当然、議案が多ければ抽選は激戦になる。
烏兎会の議場や議員に解放されているのは、右翼の棟だ。
東側、右翼である星翼は、客人の宿泊にも使用されることがある。しかし、基本的に議員の待機所、従属や侍従が住まう。城の勤めるものは衣食住を共にするという習慣があったため、居住を許されている。今でも王族が残した手付かずの食事は、従僕たちに振る舞われる。それは、彼らを労い王族が意図して残したものだからだ。
因みに中央の太陽翼は現在の王と女性王族のため、月翼は男性王族のための居住空間である。
目蓋が重い。
イエライは円卓の下で腕をつねった。ついでに出されたお茶をすする。甘い香りがした。月例会の手伝いにきたデイジーつきの侍女の一人だったか、が置いていったものだ。
「では、次の議題に移るか」
「ノクスでの疫病が終息してきたようです。ですが、少し気になることが」
「何が問題なんだ」
報告した彼はフェンネル・サンガーだ。優しそうな目元の、絵に描いたような優男で、口元に常に笑みを讃えている。文官の中では比較的若く、有能だと言われている。
彼に対して、一人の少年が、知的な瞳を瞬かせた。
アリストロ・アメリ・カスラーン。十一になったばかりで、幼いながら大人顔負けに堂々とした意見を述べる、期待の王族だ。イエライの左から三つ先に座っている彼は、輝かんばかりの金の髪で意思の強い青い眼をフェンネルに向けた。
「アリストロ殿下。いえ所感なのですが、特効薬ができたでもなく、感染者が減ったのです」
「ふむ、だが、おさまってきたのであれば、そう悪いことではない」
「ええ。ただ不自然なので、少し留意した方がよいかと」
「イエライはどう思う」
アリストロがそれ以上は興味を示さなかった。ロヴァル王は満足できなかったのか、イエライに意見を求めた。
「そうですね。疫病は何が原因で広まったか、調査しなければわかりません。水に異常があったわけでもない」
水ではなく空気感染なら、他所への飛散が早い筈だ。しかし、ノクスでしか疫病は流行っていないと、報告にある。
「あと考えられるのは生活習慣です。街への感染が認められるものの、感染経路がどうやら宗教施設に片寄っていますので」
「いずれにせよ、我が国には伝染しておらず、ノクスで終息したのであれば、それほどの驚異はないでしょう」
アリストロは話が長いとばかりに、イエライの言葉を遮る。そうしてフン、と得意気に鼻をならした。アリストロの圧のようなものを受けて、周囲が萎縮する。
ロヴァルは顎に手をあてて考え込んだ。
「ふむ。では次の議題に」
「ステッラで金鉱山が1つ閉山したそうです。我が国は通貨と加工品として仕入れているので、多少変動があるかと思われます」
フェンネルの報告に、アリストロの片眉が動いた。
「ほう。銀や法石はどうだ」
「銀は数年前に閉山が相次ぎましたが、今は安定してますね。相変わらず法石は何処からも沸いてくるようですが。なにか問題でも?」
「ならば今のうちに金を買い上げておくべきか。うまくいけば、利潤が得られるだろう」
「ですが、資金はどちらから捻出されるので?」
口角をあげたアリストロに、文官の一人、バンダが問いかける。
アリストロははん、と鼻で笑って、金の髪をかきあげた。
「そんなもの、国庫からだ。無駄な内政費があるだろう。切り捨てできるところはないか。毎朝各部屋をノックする係りなど、いらないだろう。それ以外にも議員から投資資金を集めることも検討できる」
「成る程。国庫も議員も潤いますな」
「流石アリストロ殿下。先見の明がある」
最初に声をあげたのは、ビデンス・クワン議員。フェンネルより年嵩の、整った顔立ちの男。一見すれば少し軽薄にも見える。やや釣り目がちな瞳は彼の自信の表れともみえる。彼の知性は文官も舌を巻くほど抜きんでていて、将来有望株だ。切れ者だが、その容姿から、色の方でも有名だ。
彼をはじめとした議員達はアリストロを誉めそやす。イエライはその様を静観していた。其処で周囲を見渡して息をついた王と、イエライの目線があった。
「納得いかないか、イエライ」
ロヴァルがイエライに問う。
「それは必要なことでしょうか?内政費などには無駄もあるとは思いますが、それで生活ができているものもいます。雇用が不安定では国も乱れるでしょう。余った予算を買い付けに充てるのでは駄目でしょうか。それに、買い付けた後の金の扱いは売ってしまうのですか?保管はどうでしょう」
淡々と、感情を一切のせず、イエライは告げる。バレリアン宰相が僅かに目を瞠り、ロヴァル王は髭を擦った。
少しの沈黙のあと、議員が数人声をあげた。
「何故保管をする。当然、値が上がったところで売れば利潤が出るだろう」
「アリストロ殿下にお任せすればよいではありませんか」
議員達が口々に意見する。彼らが騒がしくなったとき、最古参の議員ジュニパーが右手をあげた。途端静まり返って、ジュニパーが重い腰をあげる。ジュニパーは王の遠い親類にあたり、バレリアンと血縁がある男だ。長く蟄居していたが、近頃になって良く登城するようになっている。
「必要とあれば喜んで我々は協力しましょう。アウローラのために。然し、イエライ様の不安は、それだけでしょうか?」
喉が乾いて、イエライは茶を飲み干す。
ビデンスをはじめとした議員たちは、苛立ちながらも動向を窺っている。
「今入手して上がった時に売る。値上げが続いたら利益はないでしょう。我が国は貨幣に金を使用しています。必要になれば、値が上がっていようと買付けするのではありませんか。余力がないのに売ることは抵抗があります」
「それでは国庫が潤いません」
「金の値が上がれば売って、下がれば買い戻せばいいのです。下がらないときに買い付けなければいいだけですよ」
議員たちは、イエライの保管するという意見に真っ向から衝突した。黙っていると議員たちは次々と利潤について話し出す。いつの間に作ったのか、利率の見込みの予測統計を出している。
「少し前ですが。ヴェールが観光地としてどうかという立場に立たされましたよね」
議員たちの合間を縫ってイエライが切り出すと、議員たちが何を言っているのかわからない、ポカンとした顔をした。
ヴェールは何でも癒す泉があると有名で、今は温泉地としても名を博している。資源ではステッラはおろかノクスにも遠くおよばない。採石量は12領邦国中で下から数えて4番目か5番目を争っている。にもかかわらず繁栄しているのは、主たる収入源である観光が好調だからである。
その、観光地としての立場を危ぶまれた時期が、ヴェールにあった。
「ヴェールで、劣悪な法石導具が氾濫していた時期のことか?温泉の温度調節も効かぬ状態だった。いつもは療養する患者と旅行者であふれているヴェールから、人が消えたな」
答えたのは、ロヴァルだ。彼は頬に手をあてて、深く椅子に座りなおす。
「原因は港町が封鎖されてノクスからの輸送ルートが閉ざされたことです。ステッラからの法石の輸入がうまくいかなかった」
12領邦国中もっとも鉱石が豊かなステッラ。ノクスの疫病で半年前から港が封鎖されていることで、問題が生じた。
ヴェールは海路で輸入を賄っていた。それが陸路でしか輸入できないとなると、その出口となる国が重要になる。通過の全てを握ったその国は大国ルテオラだった。
「普段から観光客の絶えない豊かなヴェールです。払えないとは思わなかったのでしょう。ルテオラがヴェールの足元をみて通行料を高くした。しかしヴェールは当時、大きな温泉施設を作ろうとほとんどの資金を投じていた。結果、ヴェールは残りの法石で全ての設備を賄うしかなかった」
「何の関係があるんだ」
「成程」
イエライが続けると、一人の議員が不満げな声をあげた。その直後にビデンスがイエライに対し、相槌をうつと、その議員が不思議そうな顔をした。
「つまり、我が国の貨幣価値が下がる可能性があると」
答えたビデンスに、イエライは視線を向けた。
「そうですね」
「何故だ」
ビデンスとイエライの会話に、先ほどの議員が体を震わした。ビデンスが、その議員に冷たい目線を送る。見目がいいだけに、ひやりとする気迫がそこにあった。
「君はどこの出身だったかな」
「何故そんなことを。日霊舎だ」
「私塾か。もう少し勉強したまえ。ヴェールで複合施設の倒壊など、事件があっただろう」
ヴェールでは、半年前杜撰に建てられた複合施設で、様々な事故が起きている。それは大問題となった。原因となったルテオラが社会的に干され、そこで漸くルテオラは態度を変える。ヴェールの支援をする事で非難を逃れたのだ。支援の御蔭で、今、ヴェールは持ち直してきている。
背景にはルテオラの失策がある。先の西大陸での内乱に参加しなかった、それが尾を引いている。加勢し損ねたルテオラは、ノクスやアウローラに後れを取ってしまった。
西大陸と直接国交を持つこの二国間での力関係はアウローラが上ではあるものの、ノクスにとっては国益が大きかった。疫病が流行るまでは、その潤いが目に見えていた。
西の技術を取り入れる機会を失ったルテオラには焦りがあった。ヴェールに対して無体な行動に走った経緯には、そういった事情がある。
「それとこれと、なんの関係がある」
ビデンスの説明不足を責めるように、男が唸る。
「ヴェールの観光価値が下がったように、我が国の貨幣が劣悪になったら何が起こると思う」
「貨幣が劣悪、とは」
「例えば。金の含有量が低い貨幣と、高い貨幣があれば、どちらを人が選ぶか、ということです」
男は、ビデンスの言葉を鸚鵡返しにするだけだ。呑み込みが悪い議員に、フェンネルが差し出口を挟んだ。それからフェンネルはビデンスとイエライにそのことを詫びるように軽く頭を下げた。
「利潤の追求で、貨幣価値が暴落するなんて笑えない。健全な経済を維持した上で利潤は成り立つのだ。返す当てのない負債はするなというだろう。負債をしてまで手を出すものではないということだ」
フェンネルに続けて、ビデンスがとどめを刺す。
文句をいっていた議員は、それで漸く黙った。フェンネルもビデンスも、後の議会を動かす有能な若手だ。逆らえばどうなる、といった安っぽい脅しではなく、理路整然と詰められれば、彼らを言い負かすことは難しい。当然、あしらわれた彼に追随するものはいない。
「では、どちらにせよ、雇用は確保したうえで、出来るだけ金の買い付けは考えてはどうでしょう。保管の方向と、機を見て余力があれば利潤も考える、ということで。柔軟に局面を見極めればいいでしょう」
「そうですね」
ビデンスが、イエライをうかがう。流麗な仕草で返答を要求されて、イエライは流れるように同意した。
「父上、国の利益なのですから、買い付け自体はやってみるべきです。保管にせよどちらにせよ、そうなるのです」
アリストロが前に出てきた。自分の手柄を自慢する子供のそれを、隠すこともない。
ロヴァルは目の前の茶を啜る。甘いはずの茶を飲んで、王は渋面をつくり、もう一度器を傾けてすべてを飲み干した。
「この件は、バレリアンとビデンスに任す」
王は決を出し、ふむ、と息をついた。ビデンスとバレリアンが頭を下げる。
「わしは、これより二週間ほど留守にする。その間の全権はバレリアンとイーフェにある」
ロヴァルはそう告げると、バレリアンが立ち上がった。
「烏兎会にてこの案件は引き継ぐ。此にて議題は出揃った。ソールに認められ始めた此の会は、マーニによって滞りなく遂行され、閉会が完了する」
終了の宣言と共に、議員たちが立ち上がる。
足早に、がやがやと出入り口を占拠する。多くはその後に会合に向かう。次回の法案の筋道をたてる筋道の議論をしたりすることもあるが、殆どは打ち上げ、雑談だ。若手ほど先にでて先輩をもてなす準備をしなければならない。
「父上」
議員達が急ぎ退出する中、アリストロが席を立つ。彼は足早に靴音を響かせて、ロヴァルに詰め寄っていた。
「どうした。アリストロ」
「先程のこと、俺には任されないのですか」
数人の議員が振り返った。彼らは何度か二人をうかがう素振りを見せたが、立ち止まらずに出口に向かう。アリストロは構わず続けた。
「俺では力不足でしょうか」
「そうはいってない」
ロヴァルがちらり、視線をアリストロに合わせた。
アリストロは気迫に押されたのか、口ごもる。そして緊張からか、彼は手足をせわしなくうごかした。
「しかし、バレリアンは」
それ以上は続けられなかった。言葉が続かない、といった様子だ。言いたいことがあるが言葉にならないのだろうか。
「わしの留守中、全権は、バレリアンにある。分かるな」
ロヴァルはそんな息子に、力強い口調を崩さない。だが、その言葉に含みがあると感じ、俯きがちだったアリストロの顔が上を向く。
「バレリアンが頼ってきたら、お前の知恵を出せ」
「はい!」
「二週間ある。その間に結果を出しておけ、アリストロ」
満足げにアリストロがうなずく。
「お任せください。父上。お気を付けて行ってらっしゃいませ」
ぴしっと礼をして、アリストロは退出する議員たちに追随した。
丁度ビデンスが出ていくところで、二、三言交わして離れていく。その先にジュニパーがいた。彼はバンダと話している。アリストロはジュニパーにも挨拶して、それからようやく外に出ていった。
何の気なしにそれを眼で追って、イエライはバレリアンに肩を叩かれた。どうやらロヴァルが、バレリアンに何やら言付けたらしい。バレリアンが促した方向にいたロヴァルが、イエライを手招いた。
「お前に言付けたいことがあってな」
「アリストロほど期待しないでいただければ」
イエライが笑う。仄めかされたそれに、ロヴァルは口髭を掻いた。
「些末なことだ。すぐ済む。わしはもう行かねばならぬのだ。12協定からの火急の召集でな」
「どちらに行かれるのですか?」
「ルテオラだ。それゆえ長期の旅となる」
東大陸は12の領邦国家である。12協定は、数年毎に主権を順繰りに回すために作られた協定で、召集に参加するのは義務だ。確か今はルテオラが主権を持っている。ルテオラは、東大陸の西にある。もっとも東にあるのがこの国、アウローラだ。二つの国は、覇権争いとまではいかないが、犬猿の仲に近いものがある。
ロヴァルはイエライの頭をポンポン叩いてから、遠慮がちに、確認するように頬を撫でた。
「アウグスタに似てきたな」
アウグスタ·ルイーゼ·カスラーン。イエライを生んですぐ亡くなった第一王妃の名だ。
ごつごつ節くれだった指の感触。ロヴァル王の精悍な体つきに相応しい、力強い手だ。それが今は亡き妃を想うように、壊れ物でも扱うように、イエライに触れる。そして名残も惜しまず離れていく。
「イエライ。これをイーフェに届けて貰えるか」
小さな紙袋だ。掌におさまる程度のそれをロヴァルが手渡す。
「わかりました」
イエライは袋を受け取って、ポケットにしまいこむ。
ロヴァルは満足気に口角をあげ、侍従を呼んだ。大きな荷物を持った侍従と騎士の一人が、ロヴァルの前後に立ち、会議場を出ていく。
その姿が見えなくなると、イエライは会議場から一番遠い階段に向かった。近くの階段は、議員達でごった返していた。年老いた議員ほど、その混雑がなくなるのを会議場で待っているようだった。
遠い階段は予想通り、あまり利用されていないようだった。イエライは数段、調子良く降りていく。
「…様に縁者がある…そう…。防ぐ…なるほど…」
階段の途中で話し声がした。使うものがいないと思っていたが、そうでもなかった。当たり前といえば当たり前だ。声はフェンネルのものだ。
「では、私はこれで失礼」
数歩歩いて、階段を降りる跫音が響く。続けざまに少し高い靴音がして、それは近づいてくるようだった。丁度半階の踊り場にさしかかった時、イエライはリアと鉢合わせになる。
意外な人物に、イエライは意表を突かれる。
「イエライ様、何処へお急ぎですか?」
リアがふわりと穏やかな笑みを浮かべる。先に疑問を投げられ、イエライは覗きをしていたわけでもないのに一瞬気まずくなる。
「すこし、太陽翼に用事があって」
「私がお届けしましょうか」
「え?」
反射的にイエライの肩が動く。
「失礼ながら、ポケットがきっちり閉められていません。デイジー様に何かをお持ちするならと推察したのですが」
「ああ。成る程」
納得して、イエライは頭を掻いた。
「貴方には隠し事できませんね」
「仕事ですから」
リアが綺麗に会釈する。何処か上品な淑女、貴族の儀礼に似た仕草で、片手は胸の前、もう片手は控え目にスカートの裾を摘まみ、腰から上は殆どぶれることなく屈んでみせたのだ。
「リアみたいに気づく人は少ないですよ」
だからこそ、リアはデイジー付きになったのだ。無能なものは任されない。彼女は有能だ。まとなりのない侍女達をうまくまとめてる。
「父から頼まれたものだから、今回は自分で行きます」
「そうですか」
リアはそういって、頭を下げた。失礼するということだろう。リアは階段を上り始める。
急ぎの用事があるのだろうか、少しいつもより早い歩調の彼女を、イエライはぼんやりと見上げた。
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