結末まで目が離せない!加速する恐怖と謎!

 妻となる女性との穏やかな生活を夢見る内藤は、ある日奇妙なバイトを紹介される。ある山にポリタンクを背負って登り、山頂にある古井戸に中身を捨ててくるというものだ。その報酬の高さに惹かれ、怪しいことを承知で内藤はバイトを引き受けることにする。それが恐怖の始まりだった。
 現場に集うバイトメンバーも身元が胡散臭く、依頼者も奇妙な指示を出す。何気ない日常からだんだんと嫌な予感が漂い始め、山を登るにつれ恐怖は加速していく。ポリタンクの中身は何なのか、山頂の井戸の秘密とは?それが徐々に明らかになり、選ばれたメンバーの秘密も暴かれていく。
 ストーリーの運びが非常に巧みで引き込まれる。夜の山の描写やシチュエーションも非常に秀逸で、ホラー好きな私もこれは斬新!と思わず唸ってしまった。これはホラーレーベルの文庫本で書店に並んでいておかしくないレベル。読んで損は無し、とても読み応えある作品でオススメです。