第7話 朝日が昇り

苦しくて苦しくて……それでも朝は来て…それでも日は上って来て『俺』は、その朝日を鬱陶しく思いカーテンを閉め目を閉じる。


「お前は、ずっと1人で1人で老いて1人で死んでいく……誰からも必要とされず、皆から邪魔に思われ、ただの1人にすら愛されない…お前はずっと一人だ」


 まただ、またこの声

 家族が死んでから、いつも目を閉じて心に意識を集中するとこと声が聞こえる…

 一体何回聞いたセリフだろう?一体何度聞けば静かになってくれるだろう?

 ただ『俺』は、1人で死にたいだけなのに……


『俺』は、耐えきれず店を飛び出した

空は、いつの間にか曇っていた

……街に着くと『俺』また歩き始める


歩いて歩いて……


その日は、いつもとは違う道を行った

初めて行く道だったがもう帰らない

『俺』は、ひとつ決めていた……


『もう死のう………』


その町の近くには大きな川があって、いつの間にか大雨が降っていて川は大荒れで


その川の向こうで兄さんが手を振っていた気がする。


いつの間にか『俺』は、その川の中にいて……


当然溺れて、意識が闇に落ちていく……


ガシッ手を掴まれるただその感覚だけがあった


目覚めると病院にいた…

すぐそこに人影があって、眠っている頭をこおしその人影に目をこらす


秋雨さんが腕を組んで眠っていた


多分…またこの人に助けられたんだ……

涙が出た…嬉しくて、迷惑をかけて申し訳なくて、この人の優しさを信じれなかった自分を憎んだ。


窓の外を見ると雨はもうあがっていて…でも僕の心には、まだ雨が降っている

……辛いからじゃなくて…幸せで…ただただ優しい時雨…すぐに止む天気雨……


「ん、うん?……おぉ!起きたか!!」


秋雨さんが起きてきて焦って涙を拭いたけどすぐバレた、当然だ目が腫れていたから


「泣いてたのか?いつか言ったよな、話せるようになったら話してくれって。話そうとしてくれたんだよな……」

「あ…あう……」

声が出ない色々言いたくて、頭の整理がつかなくて

「ありがとな、少しづつ話してくれ」

その言葉で頭の整理が着いた

『僕』は、まず僕自身の成り立ちを話した


僕には、3人の家族がいた事……兄さん、母さん父さん…家族がいて幸せだった事

…朝ご飯を食べてると兄さんがパンを口いっぱいに突っ込んで慌てて学校に行って僕も家族もそれを見て笑った事

…休みの日は、家族4人でショッピングモールに行ったりいろんな所へ行った事

…僕が小学校の卒業式のあとご飯を食べに行った事

…すごく楽しくご飯を食べて車で帰った事

……その帰り…事故が起きた事


その話をしようと口を開くが声が出ない

心が苦しかった…いつの間にかまた涙が出て「あ…嗚呼、あ」

声にならない…話している時は、ずっと下を向いていて、秋雨さんの方が見れなくて

その時秋雨さんの声がした


「大丈夫…聞いてるから、ゆっくり話してくれ」


涙が止まらなかったけど声がてるようになった


事故があって…ドシャンって音の後3回くらいぐるぐる回ってその時怖くて目を閉じて、目を開けると隣に座っていた兄さんが庇っていてくれてて、兄さんは血だらけで

「大丈夫…大丈夫から今は、意識を保て…な」

って言ってくれて多分その時眠ってしまったら………。そのあと兄さんは、動かなくなって

前に座っていた母さんと父さんは、ずっと静かで兄さんがいて見えなかった…

救助の人が来て安心して眠ってしまった

起きると病院で医者の人が3人が死んでしまったことを教えてくれた………

それから抜け殻みたいになって…中学に入って小学校からの友人が励ましてくれた

…けどその行為が逆に苦痛で本当に死んでしまった現実を突きつけられる様で

…耐えきれず1年くらい前から学校へ行かなかなって

……多分兄さんを探しに…母さんを探しに…父さんを探しに…街に出てずっと歩いていた


話終わる頃には、もう涙も枯れて……


「ありがとう……」 


秋雨さんの声は、震えていて顔を上げると立ち上がって背中を向ける秋雨さん……

僕に、涙を見せないようにしてくれたんだも思う


「なぁ…しゅん、今すぐ答えなくていいんだがまぁ…あれだ…俺は、お前さんが来てくれるんなら……店に来て一緒に働いてみないか?当然しゅんが高校に入ってから…な。俺は、みんなが楽しんでいつも笑顔でいられる居場所を作るのが夢なんだ……しゅんにも同じ夢を見てほしい……きて…くれないか?」


僕は即答した、その手を取って……


その時にはもう、『朝日が昇っていた』

心にも澄んだ空色にも……



それから、川に飛び込んだ事をリンドウさんに、こっ酷く叱られた


『生きることから、逃げるな。』

昔の友人の受け売りだそうだが僕の心に刺さった。



1週間後に退院して、マスターさんのお店に行って……中学に行って、リンドウさんやマスターさんに心配かけない為にもう勉強して高校に入って………それから…


今は、すごく幸せで……リンドウさんがいて雨宮さんがいて菊花がいて…本当に幸せだ……




後書き……第2章:救われる:終わり


旬の一つ目の過去ですまだ2つほどあるので是非見てくださいm(_ _)m

次回から新章突入なので是非ご覧下さい





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君がいてくれたから 翰菊常 @kangikutune

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