艶の彩二夜
千恵花
第1話 背中
窓際のカーテンから
透けて光る
月と星に
背を向けて横たわれば
耳たぶを
甘く噛む唇は
生あたたくしっとりと
うなじをなぞる
あなたの手を強く握りしめた
私の手をほどき
その指先は
流れるように背中であそび
その痕を
唇が追いかけてくる
それはゆっくりと曲線を描き
脇腹を撫で
或いは真っ直ぐに
なだらかな丘の上まで
辿りゆく
真っ白なシーツの狭間
私は
されるがまま
唇の柔らかな慰みに
酔いしれるだけ
背中に
甘い蜜を纏い
ただ
誘惑の先へと堕ちていく
艶の彩二夜 千恵花 @caorinhana
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