第4話 友達以上恋人未満
「綾夏」
名前を呼ばれ振り返る視線の先には慶一の姿。
ドキッ
「慶一!?」
「なあ、暇?」
「えっ!?」
「暇なら付き合ってくんね?」
「別に良いけど」
「サンキュー」
ドキン
微笑む慶一に胸が大きく跳ねる。
「つーか、慶一、相変わらず一人なんだね?」
「お前も一人じゃん!」
「私は別に一人でも良いし」
「淋しくね?」
「気楽だし」
「ふーん」
「まあ、たまには、友達といるのもいいけど」
「まーな」
私達は色々話をしながら街に出掛けた。
「なあ、休日何してんの?」
「休日?別に、これといっては何も」
「まあ、デートする相手もいなければ淋しい週末だよな〜」
「うるさいなっ!悪かったな!そういう自分はどうなわけ?自分だって暇してるくせに!彼女いないんでしょ!?」
「俺はアウトドアタイプだから。お前と違って友達と出掛けたり、一人で出掛けたりすんだよ!」
「えっ?一人で?それはそれで寂しくない?」
「別に。気楽だし。確かに友達と出掛けるのも良いけど、一人も良いと思う」
「そうか」
「なあ、今度出かけね?」
「えっ!?」
「良ければだけど」
「じゃあ、良くないから出掛けない」
ムニュ
両頬を、摘まれた。
「…いた…い…」
「お前、素直じゃねーな!」
パッと離す。
「何が?私の性格だし!別に良いじゃん!」
「その憎まれ口、マジムカつく!だから男にフラれんだよ!」
「うるさいなっ!はいはい!どうせフラレますよーだ!私は一生恋愛出来ませーん!」
「別にそこまで言ってねーし!」
「ふんっ!」
「可愛くねー」
「どうせ、可愛くないです!」
「………………」
「で?本当に行かねーの?」
「行きません!」
「あっそ!」
本当は出掛けたい
だけど
素直になれなかった……
そして――――
「綾夏ーー」
休日に母親から呼ばれ起こされる。
「お客さんよ」
「えっ…?誰…?」
「男の子」
「男の子…?」
頭が働かない。
母親は、それだけ言って出ていく。
少しして―――――
「どうぞ。引っ張り起こして良いから」
「はい」
どうやら母親は連れてきたと思われる。
そんな事知るよしもなく。
昔から、男女問わず友達の出入りが多かった私だから母親は普通に家にあがらせる。
もちろん、彼氏とは、男友達と鉢合わせにならないよう配慮してくれていた。
まあ、私は滅多に連れてきた事はないけど……
友達関係以外は家に呼ぶ事はない。
バッと布団を剥ぎ取られた。
「………………」
「おいっ!ねぼすけ!」
「ん…」
グイッと肩を掴まれ寝返りをされたかと思うと両手を押さえつけられた。
《えっ…!?》
「鳴宮 綾夏っ!目覚ませよ!襲うぞ!」
ドキーーッ
胸が大きく飛び出す勢いで跳ねた。
えっ…?
えっ…!?
ええーーっ!?
一気に目が覚めた!!
「慶一ぃぃぃっ!?」
「遊びに行こぜ!ねぼすけ!」
「えっ!?こ、この体勢で言う台詞ぅっ?」
「そのままヤッちゃう?」
かああああ〜っ!
「バ、バカッ!スケベっ!変態っ!」
スッと離れる。
「つーか、お前ん家、自由だな?どうぞ、どうぞって案内されたし!」
「男女問わず友達出入りしてたし」
「だからって普通に案内されたのには驚いたんだけど?お前どんだけ友達いんの?」
「数え切れない程いると思うけど」
「だろうな。つーかさ、女の子の寝起きって可愛いよな?」
ドキッ
「えっ!?あっ!」
私は、自分の格好を見る。
そういえば起こされたんだっけ?
私は、自分の姿に
かああああ〜っ!
恥ずかしくなり赤くなってしまい
私は布団を被る。
「バ、バカッ!」
「まっ!お前は論外だけど!」
「…なっ…!ムカつく!」
「えっ?何?もしかして可愛いって言って欲しかった?」
「結構です!どうせ可愛く…」
布団の上から抱きしめるようにされ向き合う私達。
ドキン…
胸がドキドキ加速する。
「…な、何?」
「なあ、そんな事よりもさ着替えてくんね?バカ女!廊下で待ってるから」
そう言うと部屋を出て行く。
「………………」
「えっ?」
馬鹿みたいにドキドキしたのが恥ずかしい。
何、期待してるんだ?私。
私は、着替える。
「ごめん!お待た…せ…」
頭をポンとされた。
ドキッ
「行くぞ!」
「う、うん…つ、つーか出かけるとかって約束してないよね?私達」
「してない。つーか、それらしい話は、この前したけど。まあ、俺が勝手にお前ん家に来た。でも、たまには良くね?」
「それは…まあ…」
「暇人同士仲良くしようぜ!」
私達は騒ぎつつも街に出掛けた。
その途中での事だった。
「慶一じゃない?」
一人の女の子が声をかけてきた。
「あっ!久しぶり!」と、慶一。
「もしかして、お邪魔だった感じ?」
「えっ?あー……」
言葉を詰まらせる。
しかし、何を思ったのか
グイッと慶一は私の方を抱き寄せると
「そう!実は、お邪魔なんだよね?」
《えっ?》
《えっ!?》
《ちょ、ちょっと待って!展開が……》
「つー事で悪いな」
そう言うと、そのまま移動する。
「ちょ、ちょっと…!」
そう言う私に
「このままデートする?それとも手繋ぎデート?」
そう言いながら私の手を握る。
ドキッ
「どっち派?やっぱり、こっちの恋人繋ぎに憧れてんだろ?お前」
いたずらっぽく笑う。
バッ
手を振りほどく。
「べ、別に良いし!」
足早に歩く私。
グイッと腕を掴まれ引き止められると、手を繋いでくる慶一。
ドキッ
「迷子にならないように」
「ちょ、ちょっと!酷くない?迷子になら…」
「良いから!繋がれてろ!バカ綾夏!」
「ひ、一言多いし!」
クスクス笑う慶一。
私達は手を繋ぎ街を歩いていた。
はたから見たら
私達は
どう見えるのだろう?
カップルに見えるのかな?
そんな事を思いながらも
私は楽しむ
心に秘めた想いを胸に……
その日の帰り際―――――
「なあ、お前ってさ気になる奴いたりすんの?」
ギクッ
「えっ…?い、いや…」
「ふ〜ん…」
私を見つめる慶一。
ドキッ
私は耐えれず目をそらす。
「いないものはいないから!つーか、慶一に関係なくない?私に好きな人がいようと、いまいとさ」
「あー、ねーけど?」
「だったら良い……」
グイッと後頭部を押されキスされた。
ドキッ
唇が離れ、至近距離に私の胸はドキドキ加速する。
「お前、誤魔化してもバレてんだけど?分かり過ぎだから」
「…えっ…?」
スッと離れる。
「最初は気のせいかな?って思ってたけど、様子見てたら、そんな感じじゃねーなって…」
「………………」
「つーか…半信半疑な部分もあったけど…別に良いけど?」
「えっ?」
「お前となら付き合っても」
ドキッ
《えっ?》
《ちょ、ちょっと待って!》
《今…付き合っても良いって言った?》
私は慶一を見つめる。
「何?」
「いや…」
「……………」
「いや、いや、いや。待って!」
「何だよ」
「後で別れるよ。だって、私、性格が性格だし」
「それはどうだろうな」
「だって!慶一も私の性格知ってるでしょう?」
「知ってるからこそ良いんじゃねーの?似たもの同士なんだし。つーか、俺的には問題ねーし」
「えっ?」
「俺、お前みたいな奴、探しててさ〜」
「探してた?」
「俺の性格知ってるだろ?俺もお前と変わらない恋愛人生送ってんだよ」
「………………」
「俺は告白される事ばっかりだし結局、普段と変わらないとか言われてフラレてさ」
「慶一…」
「何だかんだ言って結局、俺も同じ。だからお前の悩みが良く分かるな〜って思ってて、友達以上恋人未満な関係保って付き合っていった方が良いんだろうな〜って。もちろん、一人の男と女としての関係含むだけど」
「…………………」
《つまりそれってさっきみたいな事…》
かああああ〜っ!
「何、変な想像してんだよ」
「し、してないからっ!」
クスクス笑う慶一。
「分かりやすっ!」
「う、うるさいなっ!」
私は背を向ける。
スッと抱きしめられる。
ドキッ
「無防備。スキあり過ぎなんだよ。つーか、容赦しねーから…」
かああああ〜っ!
と耳元で囁かれるような状況に足の爪先から頭のてっぺんまで、一気に体が熱くなると同時に、私の胸は早鐘のようにドキドキ加速する。
「言っておくけど…俺もお前と同じ位緊張するんだからな!」
「わ、わ、分かったから…耳元で囁くようにするのは辞めてっ!」
私達の恋は波瀾万丈?
私達の関係は今始まったばかりだよね。
友達以上恋人未満。だけど……
永遠の恋人。
だよね……?
〜 E N D 〜
友達以上恋人未満〜永遠の恋人〜 ハル @haru4649
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