世界がファンタジーで溢れる世界になりました!〜でも俺は推しに『課金』するだけです!〜

なああ

第1話 インストール①




「……うそだろッッ!」



 薄暗い部屋の中にて。

 金海「かなうみ」清定「きよさだ」はテレビに向かってそう叫んだ。


 それは清定が推しのアイドルが初のテレビに出演する……その直前に緊急速報のテロップが入り強制的に番組がニュースへと切り替えられたからだ。



「見てられるかッッ!」



 清定は推しが出ないならみる必要がないとばかりにテレビを消してリモコンを放り投げた。

 そして不貞腐れたように布団を乱暴に掴んでかぶる。



「あーくっそ!くそっー!」



 初のテレビ出演、それも僅かな自己紹介程度の出番しかなかったとしても推しのアイドルはSNS等で『初のテレビ出演が決まりました!凄く嬉しいです!』『とっても緊張するけど頑張ります!』と幸せそうな笑顔と共に投稿していた。


 だからこそ今頃、自分のテレビ初出演がなくなってしまったことに悲しんでいるであろう推しのアイドルを想像すると叫ばずにはいられなかった。



「あー………寝るか」



 今は深夜の三時を過ぎた頃だ。

 普段なら寝ている時間帯で推しがテレビに出るからこそ起きていた、だが推しが出ないのなら起きておく必要もない。



「はぁぁぁぁぁーー……見たかったなぁ…」



 その言葉を最後に俺は目を閉じた。




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「………眠いなぁ」



 目が覚めた。

 今日は休日という事もあって特にアラームを設定していなかったのでぐっすり眠れたはずなんだけど昨日が夜遅くまで起きていたからか少し眠気と体のだるさを感じる。



「………今何時だ?」



 スマホで時間の確認をする。

 まだお昼前の十一時過ぎたところだ。



「さてもう一眠り……そうだ『ツツッター』を確認しておくか」



 今日の予定は特にないので二度寝をしようと思ったけど、推しがSNS等に何かしらテレビのことについて投稿しているかもしれないということに思い至った。


 もしかしたら落ち込んでいるかもしれないし、そうじゃなくても推しがSNS等を投稿しているなら見ておきたいので、数あるSNSの中でも特に投稿頻度が高い『ツツッター』から開いてみることにした。



「ん?何だこれ?」



 推しを検索しようとすると検索ワード欄に『モンスター』『ステータス』『スキル』などと言ったワードが表示されていた。


 この検索ワード欄はツツッターの使用者が直近一時間以内でよく検索されるワードが表示される。


 だからこそ何でそんなワードが表示されていることに首を傾げた。



「…まぁいっか、それより推しだ」



 気にはなる。

 だがそれよりも推しのことの方が気になるのでまた後で調べることにして今は推しの名前を検索欄に入力する。

 そして推しのアカウントが表示される。



「お、投稿されてんじゃん」



 推しは二個新しく何かを投稿していた。

 まずは一個目の方から見てみると…



「あぁ、だよなー」



 投稿時間は深夜の三時でテレビに緊急速報が入ってから少し経過した後だ。

 内容は『残念。。。だけど緊急のニュースが入ったんなら仕方ないよね(>人<;)』とやっぱり自分のテレビ初出演がなくなってしまったことに対して落ち込んでいる様子がわかる。



「………送信っと」



 普段はコメントなどは書かないで見ているだけど、思わず応援したい気持ちが高まりに高まって『頑張って下さい!』とコメントを送ってしまった。



「そして次は……」



 返信が返ってきたらいいのにと僅かな希望を胸に抱いて次に投稿された内容を見てみる。



「………は?」

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