メガネどこ行ったんやメガネ

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

メガネチャレンジ

「なあ、ウチのメガネ知らん?」


 ナオが、風呂から上がってきた。


 またか。


 自分の家で、どうしていつもメガネを失くすのか。


 そして、どうして隣に住んでいる俺が探さないといけないのか理解できん。


 しかも、学校から帰ってきてシャワーを浴びていた短時間で失くすとは。


「また、ブラ用洗濯ネットの中ちゃうんけ?」


 三日前は、そこから見つかった。一緒に洗濯するつもりだったのか?


「いや、今日はスポブラやったから。体育あったし」


 そんなエロ情報いらんねん。

 ていうか、お前はこの間、メガネとブラを間違えなさったんですね?


「おっ。あるやんけ目の前……にいいっ!!」

 

 メガネは、Tシャツの上にひっかかっていた……と思われた。


 こいつ、オッパイの上にメガネ乗っけてるやんけ!


 なんちゅうとこに!

 これがメガネチャレンジ!

 スマホチャレンジならぬ、メガネでチャレンジとかやかましいわ。


「あった? どこなん?」


「し、知らん!」


「なあ、教えてや。せやないと勉強できへんやん」


 俺は、ナオの家庭教師を任させているのだ。

 家に堂々とお邪魔しているのも、ナオの勉強を見るためである。


 ナオは、こたつテーブルに座る俺のメガネを取り上げた。


「なにすんねん。ジュンプ読んでるのに」

「勉強せえへんのやったら、貸して」

「終わったから、くつろいでるんやんけ。はよ座れや。見たるから」

「なんでよ。度も一緒やん。貸してよ」

「いや、だからな返せ」

 

 お前のおメガネ様は、お前のお胸の上でおネムですわぁ! って言いたい!

 だが、それを言うと俺は間違いなく嫌われるだろう。


 ナオと組み合っていると、ナオのメガネが胸からポロッと落ちた。


「あったやん。よかったぁ」


 ホッとした様子で、ナオがメガネを掛け直す。


「よかったな」

「どこにあるか教えてくれたら、もっと早くメガネ女子を見れたのにな」

「なにを言うてんねん?」

 

 ナオが、俺に四つん這いですり寄ってくる。


「メガネチャレンジ、どうやった?」


 こここ、こいつ!


「ナオ! お前、メガネわざと胸に!」

「せやで、いつ気づくかなって。せやけど、気使って教えへんかったやろ?」

「セクハラは、やらん主義やねん」

「ありがとうな。そういうところが好きやねん」


 俺は、唐突にメガネを外された。


「いや返せって。勉強教えられへんから」

「勉強終わったら、勉強以外のコトも教えてな」


 よし。はよ勉強終わらせて、はよメガネ外そう。

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