かわいい幼馴染のブルマを俺は絶対に守りたい……。

変体へんたい!! ブルマニアン~!!」


 何をやってもダメな小学生、佐喪半珍宝さもはんちんぽうくん、

 女ガキ大将のメスガッキーちゃんに、小学校でゾウさんパオ〜ンなる、

 恐ろしい大技を仕掛けられ、廊下に立たされてしまった……。

 貞操逆転世界の私立御下劣しりつおげれつ学園では昔、小学生の間で大流行した

 女の子のスカートめくりならぬ、男の子の半ズボンおろしが横行していた。


「あ~~もしかして珍宝って、まだつるピカなんだ!!

 ちょっと、かわいいかも♡ 

 あれっ? そう言えば私、もう塾に行く時間だ……。

 ばっちいからお手々洗って、えんがちょしよ!!」


 美少女ガキ大将、メスガッキーに好き勝手にされて男の沽券こけんが丸つぶれだ……。

 悔しい、だけど飛び切り可愛いロリ美少女の攻めに逆らうことは出来ない。


 泣きながら下校していると、いつもの商店街に見慣れない店が開店していた。

 ブルマ専門店 ブルマニア。ハーフパンツは扱っておりませんとの看板だ。

 ふらふらと珍宝少年は、店のショーウインドウに吸い寄せられた。

 そこには可愛い少女のマネキンに体操服のブルマがディスプレイされていた。


「ああ、僕も女の子だったら学校でいじめられなくてもいいのにな。

 ブルマを穿けたらいいな、女の子になりたいよ……」


 まるでショーケースのトランペットを欲しがる黒人少年のような、

 熱い視線でブルマを見つめる珍宝。店内からその様子を見られているとは

 知らずに……。


「僕もお◯んちんが取れて女の子に変身出来たらいいのにな……」


 その時、店内から現れた白衣を着た謎のおっさんが珍宝に言い放った。


「少年、その願いを叶えてやろう。この白いブルマを頭に被るんだ。

 そして念じろ、叫べ、心のままに!!」


 普段だったらそんな突拍子のないことはしないだろう。

 だけどその日の珍宝少年は違った。


 弱い自分を変えたい。あの意地悪なメスガッキーに一泡吹かせてやりたい。

 意を決して白いブルマを頭に被った!!


「へんた~い!!」


 珍宝少年は自分の股間に違和感を感じた、熱い、熱くてたまらない。


「ぎゃぎゃぎゃ!!」


「おわあああっ、なんだこりゃ!!」


 お〇んちんが鳴いた!!

 そして玉袋の部分で羽ばたきながら、

 ポロリと少年の身体から落ちるように離れた後、飛び立ったんだ!!

 不思議なことに全く痛みはなかった……。


「うわっ!? ホントにもげちゃったよ。ど、どうしよう……」


「少年、手を出すんだ!! それが変体のあかし、手乗りち◯こだ、

 そして続けて叫ぶんだ。ブルマニアンと……」


 おっさんの言われるままに差しだした手のひらにちょこんと、

 手乗りちん◯が乗ってきた。本当に出来たんだ!! 少年は信じた。

 そしてブルマを被った新ヒーロー誕生の時が来た。


「ブルマニアン!!」


 ビクン、ビクンと少年の身体にさらなる変化が起こった。

 大人の階段を登る過程の一瞬の煌めき。少女の美しい

 膨らみかけのおっぱいが少年の平らな胸に再現された。

 さらに元素固定装置によるコスチュームチェンジが行われ、

 ハイカットのブルマが視聴者の劣情をそそる狙いだ。

 使用ブルマは、シェアNO1の鬼ヤンマ学生服の提供である。

 もちろん冠スポンサー様なのは言うまでもない。


 満足そうに見つめる謎のおっさんが、鬼ヤンマ学生服の社長で、

 ブルマ廃止を訴えるウーマンリブ軍団やハーフパンツ普及をもくろむ、

 カンポー学生服との熾烈な戦いの急先鋒を担う人物とは、

 幼き珍宝少年はまだ知らない……。


 珍宝はそれ以来、変態仮面ブルマニアンとなってブルマの存続を守るんだ。


「ちびっこのみんな、ブルマニアンと約束だ!! 

 失楽園ゆうえんちで僕と握手!!」


 *******


「やっぱりブルマニアンは今、読んでもエモいな……」


 俺、高槻伸吾たかつきしんごは久しぶりに変体!! ブルマニアン仮面を読み返していた、

 小学生当時、大流行した漫画でコロボンコミックで原作漫画が連載されていた。

 今も昔も小学生はくだらない下ネタが大好きなんだ。

 最近も、ち◯こドリルとか流行ったもんな。


 そして本を閉じ、通学のリュックに入れた。


 結衣ゆいの奴、ブルマニアンの漫画を貸して欲しいなんて言ってたけど、

 教室で渡したくないな。ブルマ泥棒の濡れ衣は晴れたけど、

 他の友達に見られたら変な誤解を受けそうだ……。


「登校中に渡せばいいか……」

 そうだ、今朝は久しぶりに一緒に登校しようと誘われたんだ!

 昨日のことを思い出してニヤニヤしてしまう。


 広橋結衣ひろはしゆい、俺と同じ大乳気おおにゅき高校に通う幼馴染の高校二年生だ。  

 艶やかな長い黒髪、清楚な雰囲気の中にも大人の色気を感じさせる

 学年一の美少女だ。そんな結衣と昔の思い出の場所で告白出来たんだ。

 結衣のことを大切に想ってるって、あれっ?

 ……俺は大変なことに気付いてしまった。結衣のことを好きだとは言っていないぞ。

 うわあ~、何やってんだよ俺。あんなチャンスは二度とないかもしれないのに!!


 ピンポーン!!


 ああっ、結衣が迎えに来てしまった。俺との関係はどう思ってるのかな?


『これからも結衣のこと、ずうっと守ってね、

 ブルマを被ったヒーローさん……』


 あの神社の集会場で彼女はそう言ってくれた。

 あれは俺とお付き合いOKな意味なんだろうか?


「伸吾、お隣の結衣ちゃんだよ、あんまり待たせないで!!」


 階下から姉の愛美あいみの声がする。面倒くさいことになりそうだな。

 一つ年上の姉貴は俺に彼女がいないのを、いつも心配してんだよな。

 伸吾、ラノベばっかり読んでないで早く彼女作りなさいよ、って。


 慌てて身支度をととのえ玄関に向かう。


「結衣ちゃん、伸吾って学校でどうなのかな。ポジション的に、

 陽キャ、陰キャ? クラスカースト何位くらい?」


 うざああっ。余計なことを結衣に質問しやがって!!


「う~ん、愛美あいみお姉さん、何位かは分かりませんが、

 伸吾ってボサボサの前髪とかもう少し弄れば結構イケメンに

 変身出来ると思うんですよね……」


 えっ、俺がイケメン? 結衣がそんな風に思ってくれてたんだ。

 幼馴染み補正じゃないよな。でも嬉しいぜ!! 次の休みに床屋行こうかな。


「え~~!? 髪型だけじゃ駄目駄目。壊滅的な私服のダサさも何とかしなきゃ。

 まあ顔は私に似て整ってるかもしれないけど……。

 あっ、そうだ結衣ちゃん。今度、伸吾の洋服選んでやってよ。

 私がアドバイスしても素直に聞かないから。ねっ、お願い!!」


 姉貴め、さらに余計なこと抜かしてやがる。俺の私服がダサいだと!?

 何がいけないんだ。上下デニムとかカッコいいじゃないか!!

 往年の宇宙刑事みたいだし。高校生で車の免許が取れないのが残念な位だが、

 俺は宇宙刑事みたいにススキジムニーに乗って、ミニスカート姿のよく似合う

 可愛いパートナーと、狭い後部座席を倒してイチャイチャするのが夢なんだ。

 女の子の愛車のスポーツカーに、車の加速で置いて行かれるのはお約束だが……。


「べ、別にイイですよ。伸吾が行ってくれるならデートしても……」


 ええっ!? ラブコメ好きが高まりすぎて難聴主人公になったのか俺は!!

 今、確かにデートって言ったよね。服を選ぶ買い物だけじゃなく。


「姉貴、もういいだろ。結衣が困ってるから。学校に行くよ!!」


 若干、キレ気味に結衣を玄関から連れ出す。姉貴がしてやったりとした顔で、

 俺達を送り出した。余計な一言も忘れずに。


「しっかり結衣ちゃんに頭下げるんだよ。デートよろしくお願いしますって!!」


 *******


 駅まで向かういつもの通学路、違うのは結衣が隣にいることだ。

 それだけで全ての景色が違って見えることに俺は驚いた。

 並んで歩くセーラーブレザーの彼女。肩が触れあいそうな距離だ。

 良く整った鼻筋、吸い込まれそうな大きな瞳、艷やかな長い黒髪。

 結衣の横顔に見惚れていて、前から来る通行人とぶつかりそうになってしまった。


「まったく姉貴の奴、いっつもウザいんだよ。俺に絡んできて」


 急に何を話していいか分からなくなり、とりあえず姉の愛美をけなす。


「伸吾ってうらやましいな、愛美お姉ちゃんと仲が良くって……」


「ええっ!? どこが仲がよく見えるんだよ、結衣」


「私は一人っ子だから。子供の頃、夕方になって二人が家に帰るのを、

 いいなあ、って思ってたんだ。私は家に帰っても一人だったから……」


 あの神社の集会場が脳裏に浮かんできた。夕方になると放送が流れるんだ。

 サイレンと共に早くお家に帰りなさいと。


 集会場から続く川沿いの道を並んで歩く。きらきらと水面に夕日が反射する。

 結衣はいつも白いワンピースとお揃いの帽子を被っていたっけ……。

 家は隣同士なのに、隔てられた距離が彼女にはあったのかもしれない。

 お互いの家の前でバイバイをする。今思うとあの時も結衣は寂しい感情を必死に、

 押し殺してニコニコ笑っていたのかもしれない。


 両親の都合で子供の頃、鍵っ子だった結衣。

 俺にはその寂しさを理解出来ていなかった……。


 俺は結衣とこれだけ長く過ごしてきたのに、何も分かっていなかった。

 急に隣を歩く彼女が愛おしくなってしまった。

 そして自分でも思いがけない言葉が口をついた。


「……結衣、今からでも遅くない。俺達の家に、しないか」


「えっ、伸吾、それって……」


「お、おまえが俺と姉貴と一緒の家に帰れる方法。

 いい考えが一つだけあるんだ……」


 うわっ俺、何言ってんだ。大人になった二人が一緒に出来る方法って、

 しかないだろ……。


「そ、その、お前と俺が付き合って、将来……」


「うふふっ、伸吾は優しいね。私のことを真剣に考えてくれて。

 全部言わなくても分かるよ。結衣が伸吾のお嫁さんになるって将来でしょ」


 結衣が俺の肩に頭を乗せてきた。彼女の甘い香りが鼻腔をくすぐる。


「……ゆ、結衣」


 こうして物語の第二幕がスタートした。

 俺は彼女の人生でヒーローになれるのだろうか?



 次回に続く。



  ☆☆☆お礼・お願い☆☆☆


 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。


 面白いと思っていただけましたら、


 レビューの星★★★でご評価頂けたら嬉しいです。


 つまらなければ星★1つで構いません。


 作者の励みや参考にしたいので、何卒お願いしますm(__)m




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かわいい幼馴染のブルマを俺は絶対に盗ってないのに犯人にされてクラス中から変態野郎と罵られた件。 kazuchi @kazuchi

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