2-3(6)土地神として……

 


 翠山に逃げ延びてきた小型妖魔というのはどいつも戦う能力すらほぼ皆無な小動物がほとんどだ。今までも話し掛けたことはあるが、相手が言語を理解しているとは思っていなかった。


「ふんふん、ほぉーこのまままっすぐ行けばいいわけだな」


 人間の街はどっち? と聞いてみればそこにいた小型妖魔達は自分達が通ってきたであろう獣道を指した。



 ◇ ◇ ◇



「さすが従者クン! 小動物の言語ももうわかるのかい?」


 含みのある問いをする博士。


「ま────まあ従者にかかれば余裕ですよ」


 なんて呑気な会話をしているものの、俺たち三人は息を切らして疾走中。


「無駄口叩いていないで走りなさい! 後ろから二体、木を伝って来るわ!」


 鬱蒼とした山道を走り抜けながら、榊支部長が叫ぶ。ちらっと後ろを振り返ると倒したはずのサル達が絶賛追跡している。


「まいったね、統制を取るリーダー格の分身も何体か分散しているようだ! 早くしないと追いつかれるよ!」


 要はさっき一掃したサルの集団も分身の一部でしかなかったということだ! 


「ヒャヒャヒャヒャ! 逃げても無駄ですよ! すぐに囲んで差し上げましょう!」

「しつこいなぁ、応戦しときますか!」

「ダメだよ漆葉クン! さっきみたいに開けたところでないとどこから襲われるかわからない!」

「んなこと言ったっていずれ追いつかれ────うおぁっ!」


 少し視線を逸らしている間につまづいて前に体が傾く。茂みに体が倒れわずかに落下すると、アスファルトに額をぶつけた。

 首から先、顔を上げると遠くにある碧海市から黒煙が数本立ち上がっていた。

 と、そんなことはお構いなしに背中へ重量物が降って来る。


「ぐえっ」


 おまけにもう一つ。


「うげっ!」


 博士と支部長、二人分の体重で体が潰されたわけだ。


「わざわざ身を挺して守ってくれるとは! 頼もしいね!」

「いいから早くどいてくれ!」


 体についた土埃を払いながら山道に出てきたことを把握する。


「ここは──翠山みどりやまね」

「あんなに木が生い茂ってるところって言えば近くなら山くらいですしね」


 まさか山中に小屋まで建ててあったとは。町を離れている間に誰かが作ったのか?


「ヒャヒャヒャヒャ! 見つけたぞォッ!」


 品のないサルの声が獣道から響く。個体によって口調が違うのは雑魚だと主張しているのか。


「このままじゃ町着く前にやられちゃうねぇ!」

「呑気なこと言ってる場合ですか博士!」


 二人のやりとりを他所に、道路の先から機械の駆動音が近づいて来る。緩いカーブをキィと擦り曲がる音と共に、緑色の車体が高速で接近。ゲーセンでやってたレースゲームよろしく綺麗なコーナリングで迫って来る。


「なんだなんだ? とまんねぇぞあの車! 二人とも端寄って端!」


 サルを警戒しつつ小走りで車と反対の方角へ向かうが、あっという間に追いつかれた。よくよく観察すると、来栖兄妹を妖魔の保護組織『翠協会』へ送ったタクシーである。

 と、そんな現状把握は置いとけと言わんばかりに運転席のウィンドウが下がる。


「はぁ〜い! タクシーのご用はありませんかぁ?」


 ……漆葉静ははである。まごうことなき母である。わざわざ白シャツに黒ベスト、真っ青なネクタイを締めツバつきの黒い帽子を被った親が出迎えたわけだ。


「か────な、なんでタクシー?」


 タイミング的にも都合が良すぎる。


「この山に見かけないバンが2回も通ったものだから……研修のついでに来ちゃったの!」


 なんの研修だよ……

 中を覗き込むと母とお揃いの格好をする漆葉紳ちちおやが助手席に同乗していた。


 ────なにやってんだこの夫婦は。


「ま、そんなわけで彼女の研修中ですが………御三方、乗って行かれますかな?」


 背後からは既にサルが数体見えているのに断る理由はない。

 返答はもちろん、イエスである。


 ◇ ◇ ◇


 人気ひとけのない山道をいいことに、俺達一行をのせたタクシーは下り坂を爆走中。背後には俺達を拉致するのにつかわれたバンが猛追してくる。が、距離が迫ることはない。


「さぁマ────タクシーの基本は安全運転! ライン取りに注意してね」

「はぁい!」


 明らかに言葉と行動が一致していないんだが………

 緊急事態なのか、博士も支部長も前に座る漆葉夫婦についてツッコみはしなかった。いいのかこれで。


「こんな襲撃の規模……サル達は来栖さん達二人以上の存在というの?」

「さてねぇ……侵攻しているのがすべてサルの分身だというなら、大元の妖魔は本部でも手を焼くレベルになっちゃうけどね!」


 俺を挟んで二人の会話が始まる。


 ………真実はその通りだ。来栖兄妹ハルトとサナ碧海市あおみしに送り込んだのは俺達を攫ったサル────猿山キンジである。


 いい機会だ。町に着くまで一旦サルについて整理しとくか──めんどくさいけど。

 そもそも奴の狙いは土地神の力を奪う事にある………まぁ最初から狙いは白神だな。街を離れている隙にバッテリー替わりの俺を先に潰してその後白神を処理する予定なんだろう。


 でも今、白神あいつは一人じゃない。涼香りょうかと一緒にいるから大丈夫だとは思うが………通信ができない以上、なにもわからん。別に知りたくもないが。

 あとは榊支部長も攫うことで統制に混乱をきたすことが目的か。博士は殻装の開発者だからか?


『わたくしめに協力して頂けるなら更なる高みへご案内しましょう! どうせ、もうすぐこの街は落としますからね………その為の玩具もあちらからやってきましたし、はい』


 考えてみれば、土地神以外の人間も戦える力を持ったら厄介か。量産型殻装キャラペイサーでも全国に配備されたら妖魔ほかのやつらにとっては多勢に無勢である。

 嫌な感じに猿山へ運が傾いて殻装を奪ったわけだ。このままだと量産型殻装も、白神の命も奪われてしまう。

 ともかくもさっさと山を下りる必要があるな。


『支部長、博士………漆葉さん……無事でいてください!』


 窓越しに見える街を眺めていると、手元の刀から聞きなれた少女の声が聞こえた。


「んぁ? 空耳か?」

『交信可能範囲になりました、従者と交信を開始します』


 桜色に輝く刀身を下に向けたまま、柄を持ち上げて聞き耳を立てると白神の息を切らした声が漏れてきた。


「もしかして……これ繋がってる? もしもーし!」


 車内で突然声を出した俺に視線が集まるが、気にしない。


『え、漆葉さん! どこですか!』


 今度はスピーカーをオンにしたスマホの通話並みの声が響いた。


「うるさ………こちら漆葉、会話しても大丈夫なら応えろ──どうぞー」

「漆葉君なにして────」


 支部長のツッコみを博士が無言のまま止めてくれた。


『こちら白神! 市外応援から戻りましたが市内でサルが暴動を起こしています。いま特定妖魔──サルの中でも強力な個体と思しき一体を他職員と追跡中です、ひすい公園の方へ向かってます!』

「おいおい、涼香はどうした?」

『涼香さんは市民の避難を優先して市内のサル掃討にあたってますが現在連絡が繋がりません! 漆葉さんは無事なんですかっ!』

「おう問題ない。支部長と博士も一緒だ────説明は省くがサルに翠山に拉致られた後抜け出して今街に戻ってる」

『よかった、無事なんですね! あと、刀がどこかに飛んでしまったんですが、漆葉さん知りませんか?』

「あぁ、それなら俺んトコに来て持ってる。んで、刀越しに話してる途中」

『はぁッ!?』


 状況確認の中、驚いた大声が鼓膜を刺激する。……うるせぇ。


「俺にもよくわからん、土地神と従者にできる通信だと思えばいんじゃねぇの?」


 とりあえず街がヤバいことは分かった。なら今はさっさと市内へ戻ること最優先だ。


「とにかく街に戻ってるから、焦った行動するなよ!」

『りょ、了解です!』

『交信を停止します』


 激しいカーチェイスの間に交わした内容を二人へ伝えた。やはり白神からの声は聞こえていなかったらしい。


「なるほど、戦闘員ではなく指示系統と技術者を襲ったわけだね!」

「感心してる場合じゃありませんよ桧室博士! 現状の職員の数では────」


 榊支部長の言葉を遮るようにカーブを流れるように曲がる。横Gで身体が傾く。


「────対処できません! それに奪った殻装が使われてるなら各員に知らせないと!」

「そうだね、なら後ろのおサルさんにはここで退場してもらおっか」


 博士はいそいそと窓を開け身を乗り出すと銃を構えた。危ないぞオッサン、という間もなく引き金を引くと、後続のバンのタイヤを射抜く。バランスを崩した車は激しく横転し動きを止めた。


「…………あんたも大概だよ博士」


 あの涼香むすめにしてこの親である。


「いやぁ、照れるなぁ!」


 こういう存在が前線に出てこないのは妖魔にとってはありがたいのかもな。猿山の行動も一理あったわけだ。


「さぁお客様、そろそろ碧海市内に到着ですよ~」


 翠山から帰還し、市内へ入る。商店のガラスは割られ、止めてある車も破壊されている。ご丁寧に街路樹の植え込みへめいっぱいミントが植えられていた。街が育てていたであろう花は、ミントへ栄養を奪われ萎れ『明るさ』を失っていた。

 そのまま路上に捨てられた車を縫うように進むと、奇しくも前に戦闘のあった交差点で、民間人であろう親子を背に殻装サル複数体と対峙するいつぞやの顎髭の男とショートカットの女職員二人を発見した。いつもの制服で殻装は身に纏っていない。


 ────そしてその傍らには、ボロボロの姿で倒れ込む涼香の姿。

 放置された車に寄りかかる真紅の鎧。堅牢な装甲は凹み、取り付けられていた装備は剥がされ、付属の武装は無惨にもバラバラに砕かれていた。兜は外され、蒼白した顔で瞳を閉じている。力なくライフルを握るその体に宿る光りは小さく、今にも消えそうだった。


「タクシー、ストップ! 博士、支部長援護頼みますよ!」


 急ブレーキがかけられ完全に停止すると同時に車から出る。職員達がこちらを一瞥した瞬間、サルが襲い掛かってきた。


「お前ら伏せろッ!」


 言われるがまま味方の人間は身を低くし親子を庇う。武装したサル達はお構いなしに突進。どいつもこいつも大して『明るくない』分身体だ。


「失せろサルども!」


 得物を横薙ぎに振るう。満タンの生命力が斬撃の衝撃波となり前方に並ぶサルを殻装ごと一掃する。が、その後ろに下がっていたサルが一体残った。他のとは違う、『明るい』サルだ。おそらくリーダー格の分身体だ。


「す、すげぇ………」

「妖魔達が一瞬で……」

「ボケっとするな! 後ろに下がってろ!」


 一瞬の出来事に呆けていた職員に叫び、親子と涼香と一緒に後退させる。


「────涼香!」


 血相を変え駆け寄った博士が娘を抱きかかえる。


「ぁ……おとうさん……」


 虚ろな瞳で少女は父親を見上げる。その体に灯す光は蝋燭の残り火のように小さい。腹部には本来涼香が振るうはずの黒いククリナイフが貫通し赤黒く染まっていた。


「すみません……やっぱり、お母さんのようには……いきませんでした……」

「いいんだ……いいんだ」


 そっと、涼香を静かに抱きしめる博士。


「おや……てっきり山で温まっているかと思いきや、どういうことですかねぇ……山にいた私にも連絡がつきませんし、ハイ」


 真っ白な殻装に、涼香から奪った両腕の武装を無理やり取り付けたサルが疑問を投げかける。


「アホくさ………おサルさん達なら今頃クラッシュした車の中で寝てるだろうよ」


 最初から答える気はない。捉えた時点で始末していればここに戻ってきたのは俺だけだったんだからな。


「結構! どうあれ始末することには変わりありませんからねぇハイィィィッ!」


 距離にして三メートル、量産型とはいえ、殻装キャラペイサーで強化されているサルが大地を蹴り上げ飛び掛かる。


 いい加減────ハイハイハイハイうるさい!


「キエェェェッ!」


 上空からサルは左腕部の銃口から火を噴かせる。鉛弾が身体を抉る。衝撃で退くがサルは捉え続ける。


「威勢だけでは実力差は埋まりませんよォ!」


 落下の勢いに乗ったサルの右手の爪が迫る。回避が遅れ右肩にサルの爪が突き刺さる。熱を帯びた右肩から血が滴る。


「そしてェ! いくら殻装などという玩具をもったところでェッ! 生物としての優劣を覆すことは不可能ォッ! まして私達妖魔が使えば尚更ァッ!」


 零距離。サルの左腕下部にあるパイルバンカーが作動。鋭利に研がれた杭の先端が、涼香と同じ、腹部を貫通する。


「人質と交換で得られましたが、なるほど面白い武装ですねぇ、ハイ! まともな武装のない小娘を嬲るのは楽しかったですよォ!」

 

 ────痛い。痛覚が意識を飛ばそうと全身に襲い掛かる。黒蜥蜴もとのすがたの時には味わえなかったものだ。冷たい金属が身体の真ん中から熱を奪おうと暴れまわる。


「情けないですねェ! 従者風情がァ──」


 顔面に対してサルの牙が向かって来る。

 俺は、頭を一度後ろへ引き、全力の頭突きで反撃した。


「──────ラァッ!」


 額に牙がめり込むが、そのままサルの武器をへし折った。口内のにおいは解説するまでもなく、臭い。


「ギィェエ!」

「もひとつ!」


 ひるんだところにもう一度頭突きをお見舞いさせる。土地神の力による膂力が強化された土地神ヘッドバットで上顎を砕き、サルを吹っ飛ばす。


「は、ハヒ………な、なんらそのひからは………ほまえ、じゅうひゃじゃないのは!」


 堪らずサルが後退した拍子に、肩に刺さっていた爪と……腹部の杭が引き抜かれる。どぷっと血液が漏れたが、映像が巻き戻されるように、体を抉っていた銃弾は排出されすべての孔は塞がる。


「さてね………」


 サルの問いに対して、返答に詰まる。

 託された──でも持っていてはいけない力。


「────俺が知りたいね」


 右手の得物を空に掲げ、左手を添える。

 まだこの力の使い方なんてすべて知ったわけではない。知ったところでなにかあるわけでもなければ、知る気もない。ただ知らなければならないから、擬態ヒトでいるわけで。


「答えは────知らねぇ!」


 振り下ろした刀身の切っ先から、桜色の閃光が地を這いサルへ迸る。成すすべなく高速で走る眩い斬撃の軌跡に、サルはただ茫然と立ち尽くし光に呑まれる。


「ィ、グギギェェエェェェッ──────────」


 断末魔の残響すら許されず、サルは消滅した。後に残っているのは焼けたように焦げた殻装の残骸。

 サルの骸がない………あれも分身か………


『力の残量が少なくなりました、再充填します』


 右手の得物が失った光を戻し再び桜色に彩られる。


 周囲を見渡してみたものの、不意打ちされる様子はない。そもそも、サルがいれば身体に光を宿しているから見える。


「だめだ────血が止まらない!」


 背後から不穏な内容が聞こえたので戻ることに。


「支部長………夕緋ゆうひひとりで……あのサルには、勝てません……はやく、増援を……」


 遠い目のまま、少女は虚空へ手を伸ばす。それが俺の手に向けてなのかはわからないが、この期に及んで他人の心配とはよくやる。少女の『明るさ』は、もうほとんど消えかかっている。


 それはそれとして、このまま動ける駒が減るのはいただけない。


「はぁ………増援なんてくるわけねーだろ」


 その増援が涼香りょうかなのである。これ以外に一般人が来たところで役に立たない。


「漆葉君あなた────!」


 詰め寄る榊支部長を押し退け、博士の抱える涼香を見据える。


「寝るにはまだ早いっての」


 誰の言葉も聞く気はない。涼香がいなくなったらまた白神一人じゃねーか。それはまずい。


「あれだけ殻装が強いってことを証明しようとしていたんだ、こんなもんじゃないだろ……ん?」


 静かに、淡々と涼香へ語りかける。そして突き立てられている凶器の柄を握る。


「漆葉クン、キミは────」

「博士……こいつとは臨時ですが、バディなんですよ? きっちり働いてもらわないと」


 ────いや、白神をいれるからトリオか。


 少女の腹部を貫いていたナイフを勢いよく引き抜く。溢れる鮮血と、周囲の視線は意に介さず──そのまま血の噴き出る患部へ左手を当てる。


「────とっとと起きろ、桧室涼香ひむろりょうか!」


 全神経を左手に集中し、刀に充填された生命力を涼香へ流し込む。俺自身の血管を回路にして桜色の光が少女へ伝い、一気に注ぎ込まれる。


「こ──これ、は──?」


 蒼白した顔は血色を取り戻し、ナイフによってこじ開けられていた孔が塞がっていく。血痕こそ残っているが傷は今、癒えた。消えかかった光は、全身を包むほどに大きくなっていた。


「涼香さんの傷が………うそ」

「な──治った? 馬鹿な」


 一番驚いていたのは博士だった。


「ま、血は少し流れたかもしれないけど動けるだろ? あのエテ公、白神が追ってるのが大元だ……さっさととっちめるぞ」


 なにより、分身したサルを仕留めるならこいつがいたほうが圧倒的に効率がいい。もう俺は十分戦ったからあとはこいつらがやれよ。疲れた。


「漆葉クン──いや、ありがとう。うん。だがこれは──」


 娘を抱えたまま、博士は一人混乱している様子だった。土地神なら当たり前にできるだろう事実に、なぜか動揺している。


 あ、やべ……これ土地神ってバレたかも。


「損傷完全に治癒を確認…… お父さん、いけます!」


 自己判断をする涼香に、博士は不安げな表情だったがゆっくりうなずいた。


「よ、よしそれならさっさと動こう! 博士と支部長はタクシーでこの親子を支部へ避難させて。あんたら二人は他の職員と合流──俺と涼香はこのまま夕緋と追う! オーケー?」


 勢いに任せて勝手に仕切るが誰も反論がない。このまま押し切れ! 


「わかりました、漆葉境」


 真っ先に返事をしたのは涼香だった。落ちていたライフルを拾い、残っている装備を確認する。続けて他の奴も了解する。運転手をしていた両親はやれやれという態度だったが、どうやらまだ付き合ってくれるらしい。


「んじゃ、支部に着いたら連絡してくれ! じゃあまたあとで! 涼香、白神はひすい公園の方だ!」

「了解です、漆葉境────遅れないでください!」


 涼香は残っていた脚部の殻装を起動し、側面の車輪を回し先導する。俺は土地神の力で足に生命力を流し込み強化を施し、少女の後を追う。


「こっちの台詞だ! まだまだ働いてもらうからな!」


 どのサルを倒すべきか、一番『明るい』奴を仕留めればいい。今なら分かる。これも……朝緋あいつのおかげなのか。


 なんでもいいか…………いい加減、猿山サルとケリをつけてやる。

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