ロリコンな僕は幼女先輩の忠実な下僕

あやせ。

第1話 これは運命の出会いですね

 僕は完全無欠にして、天下無双の--ロリコンである!


 初っ端から思い切り空振りした感が否めないが、とにかくその通りなのだ。


 家にはロリキャラのフィギュア、ロリ物のマンガやらラノベ、そして--録り溜めておいた教育テレビの番組(幼女たちが楽しそうに歌って踊っているようなもの)をCDに焼いたものなどなど……。


 とにかくロリで溢れ返っている。


 妹もいるが、あれは例外だ。暴力振ってくるし、何より血縁による因果なのか妙なウザさがあるのである。あれは好かん。


 けれど、それ以外のロリは全て愛している。もういっそのこと全ロリを保護する団体を結成してもいい。毎年募金を実施して、ロリのために服を買い与えたり、夢かわいいお家を建ててあげたり……。


 おっと、ヨダレが。いかんいかん。油断すると牛並みにヨダレを垂らしてしまう癖があるのだ。


 しかしながら、僕の中にも正常な思考を持つ常識人がいて、ソイツが最近言ってくるのだ。


「ロリに執着しすぎて、恋人のひとつすら作ったことないじゃないか。さすがにそれは問題だろう」


 と。生意気にもそう言ってくるのだ。


 だから僕は言ってやった。


「僕の恋人はロリだ。異論は認めない」


 もはや破綻していた。


 そんなわけで、彼女いない歴イコール年齢でして、まあ確かに僕の中にも焦りというものが少しづつ芽生えてきたわけです。


 だからといってロリ以外の女に目をくれてやるわけではない。


 僕はあくまでも、ということを考えているのだ。


 まあだいぶヤバいキャラというイメージを持ったかもしれないが、表では大して異常ではない。そこは安心してほしい。ロリに手出して刑務所行きなんて、そんな馬鹿なことはしない。刑務所行きになったら、ロリと疎遠になってしまう。そんなの僕は耐えられない。死んでしまう。おそらくは死を悟り、何がなんでも脱獄を果たす。


 というか、そんなことを考えているが、今日は大学の入学式であることを忘れてはいけない。


 僕は今日、東京の某大学へと入学する。


 安心してくれたまえ。頭は大してよくないところだ。そこそこの頭の私立だ。僕は大学生活を満喫することを目的としているのだ。勉強は二の次三の次、四の次かもしれないし、五の次の可能性も捨てきれない。


 まあつまり、そういうことだ。


 遊びたいのだ。(願わくばロリと)


 着慣れないスーツのシワをスっと伸ばしつつ、少しだけ大人になった気分に浸った。


 どんな人と出会うかな。


 そのことが楽しみだった。


「……っ、ごめんなさいっ!」


 大学の門をくぐった時、誰かと当たってしまった。それなのに衝撃はあまりなかった。


 この感触、か弱い感じ……もしかしてロリか!?


 とは思ったけど、大学の構内にロリがいるわけない。という思考が働き、反射的に謝罪の言葉を口にしたわけだが。


「……ごめんね、こっちこそ周りが見えてなかったよ」

「…………ロリだぁぁぁぁぁ!!」

「おまっ……ばっ、馬鹿か!? 声でけえよ!」


 赤面して恥ずかしがっているのは、間違いなくロリだった。小さな体躯に、髪型は肩あたりまででふんわりとしていて、瞳は綺麗で目はクリンクリンで。


 美ロリと呼ぶべき逸材だった。


 いや、でもよく見るとやっぱり可愛いな。うん、やっぱり可愛ロリか。


 いや、これは……! これは……!


 美可愛ロリか!? 


 両方兼ね備えているのか!?


 逸材だ。千年に1人の、逸材に違いない!


「お前っ、ちょっとこっち来い!」

「はいんっ」

「キモイ返事すんなっ! キモイ!」


 キモイを2回言わないでください。


 いや、やっぱりもっと言ってください。

 

 相変わらず真っ赤な顔で怒っているロリに手を引っ張られるがまま、大学の奥へと引きずり込まれていく。


「お前……何考えてんだ……?」

「何……って、ロリ可愛いとか。千年に1人の逸材だとか」

「はぁ? マジで何言ってんの」


 あぁ、お怒りになられているそのご尊顔も美しゅうございます。麗しゅうございます。


 というか、とりあえず今の状況を確かめておきたかった。


「ところで、お嬢ちゃん。ここは大学だからね。もうお家帰ろっか。そして僕と連絡先を交換しよっか」

「私は大学生だっ!」

「……ぅんかわぁいい」

「かわいい言うな! あと、マジで大学生だから」


 ご尊顔、マジ顔になっている。


 うぅむ、信じがたいが、ロリの言葉を否定しすぎるのも良くないよな。


「本当に言ってます?」

「本当だ。この大学の2年生、お前の先輩だよ」

「……ロリ……先輩…………いいな」

「良くねえわ! お前なんなんだよ! あとロリ言うんじゃねえっ!」


 必死に叫んでいるロリの姿に、思わず鼻血を垂らしそうになる。というより、ちょっと垂れたかもしれない。


「あの、よろしければ連絡先の交換を……」

「無理」

「でしたら、せめてお名前だけでも……」

「やだ」

「矢田さん!」

「違ぇよ!」


 ロリの機嫌を損ねてしまったみたいだ。目は棒になって、頬はリスのように膨らんでいる。


 --圧倒的小動物感!


 僕は心の中で必死に悶えた。悶えずにはいられなかった。この有り余ったロリパワーを放出する出口が必要だった。


「とにかく、私は講義行くから。じゃあな」

「嫌です。連絡先を教えてもらうまでは」

「なんでだよ! なんでそこまですんだよ!?」

「よくぞ訊いてくれました。僕は--ロリコンだからですっ」

「ですっ、じゃねえわ。しょうもな。さよなら」

「待ってください!」


 さすがにふざけすぎた。


 真面目に僕の想いを伝えれば、このツンツンなロリ先輩も心動かされるはず。


「運命の出会いなんです。人目見た時から、あなたの魅力に惹かれました。その可愛い姿にも、美しい顔にも。なので、これから内面も知っていきたいと思っているんですよ。要約すれば、僕はあなたが--好きなんです」


 これでどうだ!


 って……あれ? え、待って。


 案外、なびいてね?


「--ふ、ふざけんなっ! 急になんなんだよぉ……ていうか! お前も早く行かないと入学式遅れるぞ」

「そうですね、また後で会いに行きます。その時は連絡先教えてくださいね」

「来んじゃねえ!」


 僕はロリ先輩のかわいい叫び声を背中で聴きながら、入学式会場へと向かった。


 一人取り残されたロリ先輩はといえば--


「--ま、まあ連絡先くらいなら……」


 またしても顔を朱に染めあげて、ツンデレしていた。


「って……何言ってんだアタシ。あんなキモイ奴に教えようとしてんじゃねえよ」


 と言いながらも後輩の、告白のような、口説きにも聞こえるようなあのセリフがが頭から離れなかった。

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