恋愛感情が恋愛ではない感情体験と重なるのかもしれないという話を読んで昔の夢を思い出した話。
@blanetnoir
いつか見ていた夢がある。
それは、私が大切に思う人が、
私のことを大切に思って、
ずっと2人で生きていくという、
物語のような、夢。
あるいは、それは願いというのかもしれない。
心から 「貴方だ」 と思える人に出会うこと。
その貴方から、私が「貴方だ」 と言われて抱きしめられること。
私もその人を抱き締め返して、
永遠にその温もりを失わないこと。
そんなライブイベントが、
私の身に起きることを、
いつの日だったか、願っていた。
あの人が「貴方」であって欲しいと強く願っていた時もあった。
先輩が「貴方」になる可能性はあるのだろうかと、自分の心を探っていた時もあった。
社会人になって時間が進むにつれて
願うことに時間と心を裂けなくなって、
日々の忙しさや、
人として生きる辛さに身をやつしていたら、
あの頃の感覚が麻痺してしまったらしく、
いつの間にか願いの存在すら忘れていた。
そんな日々が当たり前になっていた私の元に、
つい最近、気になる本の情報が届いた。
「現代思想のvol49-10に、
石井ゆかりさんが恋をテーマにした
寄稿をしている」
石井ゆかりさんの書く文章のファンとして読みたいと思って、本を入手した。
〈恋愛〉の現在-変わりゆく親密さのかたちという特集らしく、一つひとつの文章に目を通すと、
私が忘れ去ろうとしていた願いを、
不意に思い出してしまった。
特集におさめられた清田隆之さんのエッセイに、
かつて所属していたサッカーチームの先輩に清田少年が憧れて、先輩に認められたくて近づきたくて努力をしていたけれど、
その先輩には名コンビを組む人がいて、
その2人の空気に入り込むことが出来ないことを悟ったエピソードのくだりで
ーー在りし日にあの夢が叶うことををフワッと願いながら、
その努力を死に物狂いでしたことはなく
最後には自分の気持ちすら疑って
何を願っていたのかを見失い、
夢を見失ってしまったことを、
思い出せた。
清田さんは、この先輩への憧れの片鱗を40歳を過ぎた今も残しているという。
私も彼のエッセイに触れて夢を思い出した時、
その夢が今も私の根底に生きていたらしいことを感じて、
結局人は、一度得た強い願いや思いをそう易々と霧散させることはできないのかもしれないと思った。
この世界をひとりでも何とか生きていくことについて考える時間が増え、
自分と、特別な誰かとの関係をこれから築ける可能性は薄いと思うようになって、
もはや自分以外の人への願いや夢は
見なくなったと思っていたけれど、
不意に夢が心の底に結晶となって
ふり積もっていたことを知ってしまったから。
もう一度、私の心とまずは向き合って、
これからブランクのある夢をどうしていこうか、
心の中で相談会でも開こうと思う。
まだコロナのソーシャルディスタンスが必要な世の中のうちに、
自分の夢と向き合ってみようと、思った。
恋愛感情が恋愛ではない感情体験と重なるのかもしれないという話を読んで昔の夢を思い出した話。 @blanetnoir
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