本心を取り繕って生きて来た男子高校生、白石。彼はそんな自分を嫌悪しながらも、好きになった女の子、府川に告白する。府川とは、嘘塗れの自分などとは懸け離れた存在であると分かった上での告白だったが、振られてしまい消沈する。
悲しみに暮れる彼へ府川は姿を現すが、腐臭を放つ、気味の悪い肉塊になっていた。
その形に彼女の面影は無く、その悍ましい姿の描写には、一切の容赦が無い。ただ生々しく、化け物としか表しようの無い醜悪な姿が浮かび上がって来る。それでも内面は、府川そのもののままなのだ。
外見だけが肉塊と化してしまった府川を前に、白石は混乱する。彼女の何を根拠に、自分とは府川を好きになったのか。
ショッキングな描写が多分に含まれているが、忘れないで欲しい。本作とは間違い無く恋愛ものであり、同時に青春ものでもある。
“好き”の定義とは何か。白石が、嘘も保身も人の性と割り切れず陥る強烈な自己嫌悪には、誰しも多かれ少なかれ、学生時代に覚えがあるのでは無いだろうか。
言ってしまえばタイトル通りの内容。されどその結末は、タイトルだけでは決して読み取れない衝撃と、怪奇な展開に転がされた果てで待っている。
“愛する人ならどんな姿でも受け入れる”なんて、君は本気で言えるかい?