最終章 落零
第112話 成敗
一週間後。
市長邸前にて。
「計画は失敗でしたね。市長」
「なに、
そう彼が答えた瞬間だった。
「
振り返ればそこには、少年がいた。
「お久しぶりです市長さん。俺のこと、覚えてないですよね?
静かなトーンの
「覚えているとも。命の恩人だからね? それで、その。どういう意味かな?」
「全てわかっているんです。
「……若いのに、もったいないねぇ。悪いけど、
秘書を呼ぶ反応がない。どうしたものかと見てみれば、彼女は拘束具で拘束されていた。
「なっ!?」
驚く
「終わりだよ。お前」
そう言って
「……よかったのかい? これで」
「はい。ルッツ先生こそ、自分の手柄渡して良かったんですか?」
実はルッツは内偵を行っていたのだ。先程、
「僕は御覧の通り、ただのしがない
そこで言葉を区切ると、ルッツがにこやかに笑いながらからかうように言う。
「
「あはは。俺もですよ……。まさか……」
思い返すのは
『借りは返す……とは言ったが、でかすぎて返せねぇ。だから……一生かけさせろ』
普段の彼女からは想像もできない重たい告白に、
「ま、まぁ。段々慣れてきましたし……それに……」
「それに?」
「案外、悪くないかなって……思います」
それを聞いてルッツは優しく微笑むと、
「おっと、そろそろ……
「……はい」
二人は並んで会場まで歩きだした。
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