第二章 VS編

第46話 訪問者

 五奇いつき達が無知性妖魔むちせいようま退治及び李殺道りつーうぇいと戦ってから四日が経過した。そのあいだ、ずっと空飛あきひ等依とういの部屋に泊まらせてもらっている。

 等依とうい本人は諦めているため何も言わないが、鬼神おにがみ苦言くげんていする回数が増えてきていた。


「おい空飛あきひ! てめぇ、洗濯物また溜めてねぇだろうな!?」


「うっ……なぜそれをごぞんじで……? い、今すぐ持ってまいりますので!」


 こんなやり取りが頻繁ひんぱんで、もはや親子の会話だ。


「よーし、オレちゃんはちょっち洗車してくるっス~」


(って……これじゃあ、休日のお父ちゃん感パねぇっスね……)


 内心で自身に突っ込みを入れながら、等依とういは車庫に向かった。


 ****


(まだまだ退院は先か……。長いなぁ)


 本を読むことしかやることがない五奇いつきが水を飲もうとした時、病室の扉がノックされた。


「はい?」


 検診の時間には早すぎるし、今日はEチームのメンバーの面会予定もなかったはずだ。警戒心を強めながらもう一度声を上げようとしたが、聞きなれない男の声にさえぎられた。


貴方あなたに用事があって来たのだが、入ってもよろしいかな?」


「えっと……?」


 更に困惑していると、別の男の声が聞こえてきた。


「……用があるなら、こちらから名乗るのが礼儀ではないか?」


「おっと! 指摘感謝するよ! 私はそういうものに疎いから大変助かる! 五十土いかづちよ。どうか、我々にご協力願えないか? いや、その前に無礼すまなかった!」


 聞きなれない声の片方がそう言って言葉を切ると、一呼吸ひとこきゅう置いて話を続けた。


「私は名を愛原灰児あいはらはいじと言う! もう一人が神禊輝也かんばらてるや。共にAチームに所属している! そして、改めて頼もう! ご協力願いたい!」


 灰児はいじの勢いと、病室の外で言われていることに羞恥心しゅうちしんを覚えた五奇いつきは仕方なく中に入ってもらうことにした。

 病室内に入って来たのは、灰色の髪に青い瞳をした眉目秀麗びもくしゅうれいな少年と、黒髪に金と青のオッドアイの背の高い少年だった。


(あ、あつが凄い! 容姿もだけど……なんか、こう……キラキラしている感じ!)


 色々な意味で負けそうな五奇いつきに気づくことなく、灰児はいじが明るい声でハキハキと近寄って来る。


「協力、感謝する! 五十土いかづち貴方あなたはイイおとこだな!」


 そう言って五奇いつきの手を取り、顔を寄せてきた。


(ちっか! 距離感!)


 それを見ていた輝也てるや灰児はいじの両肩を掴み引き離す。


「……やめてやれ。病人だ」


 そのことに深く感謝しながら、五奇いつきは用件をく。


「それで、俺に協力してほしいことって?」


「うむ! 実はな! 李殺道りつーうぇいについてきたいのだ!」

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