第37話 家族との時間
「……来るの、久しぶりだな」
今日の召集も夜で、空き時間がかなりある。
ここはトクタイが所有している"
もちろん、中には
「すみません、
(……ここに一人で来るのは、初めてだな)
最初に来た時もその次も、ルッツが常に一緒だった。だが、今日は違う。一人だ。
その事を自覚した瞬間、
(どうしよう! 父さんと……あの状態の父さんと会うなんて!)
思えば、
だが、あの日から三年が経ち
数分で、その時はやって来た。
無頓着な無地のTシャツに黒のジャージ、そして
「面会時間は
父の車椅子を押してきてくれた看護師に「大丈夫です」と短く答えると、看護師は優しく微笑みながら面会室を後にした。
久しぶりの
「その……父さん。俺、トクタイに、
そう声をかけてみても、
「……その! 俺、頑張るから! なんとしてでも父さんをこんな風にしたヤツを見つけ出すから! だから! だから……」
それ以上は言葉にならなかった。
****
結局、父は
この病院から比較的近い墓地に母は眠っている。
(そういえば、母さんの墓参りも久しぶりだ)
あの日以降、行っていなかったことに申し訳なさを感じながらも、
「母さん、久しぶり。なかなか来れなくて、ごめん。その、色々……あったんだ」
「……母さん。俺を……見ていてくれ……」
そうして
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