第36話 思い出す日
翌日。トクタイに入ってから、すっかりズレてしまった睡眠バランスを戻すため、
(昨日のは、なんだったんだろう?)
歯を磨きながら、
(……どうして
そんなことを思いつつ
「あっ」
「あっ……おはようございます。
「おはよ……早いね?」
「……ええ、まぁ。 では、その、歯を磨かせていただきますね! はい」
なにか誤魔化すような言い方が気になったが、深く追求せず
「あっ」
「おっは~? そいじゃま~その? トイレ行かせてもらってよき?」
「あ、すいません! どうぞ!」
そうして廊下の道を譲った
その新聞の見出しには、大きく『
(そういえば……あの日は朝から変な日だったな。市長さん倒れていたし……。まぁその話を今さらしたところで、誰にも信じてもらえないんだろうし……する気もないけど)
あの日。
父を永遠に失った日。
色々なことが起こりすぎて、
(まぁ、内密にって言われたのもあるけどさぁ)
そう思いをはせていると、
「あ? なに見てんだよ? ……新聞が気になんのか?」
そう
「あ、りがとう」
(えーっと。わっ……今までちゃんと読んだことなかったけど、けっこう色々な情報が載ってるんだな!)
スポーツ情報から芸能人の話題まで。豊富な情報の数々に、
(父さんはよく新聞を読んでいたけど、こういう感覚だったのかな? ……今日はなんだか、よく父さんを思い出す日だな? なんかあったっけ?)
「あっ!」
(……あの日から、一度も祝ってないけど……今日は……父さんの誕生日だ)
あの出来事が起こるまでは、毎年祝っていた大切な日。
(ごめんよ……父さん)
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