第31話 捜索開始

 昨日の戦闘結果を踏まえた四人は、今度は一緒に『爆炎ばくえん妖魔ようま』を捜索そうさくすることにし、再び夜の黒樹くろき市内を歩きまわることにした。


「んで? 見つけ出したとしてどーすんだよ? ……俺様達でどうこうできる相手じゃねーだろ……」


 鬼神おにがみの言葉に三人は黙るしかない。本部から出る前に話し合ってはみたものの、結論として「今の自分達では勝てない」という答えしか出せなかった。だが、それでも任務は果たさなければならない。


五奇いつきちゃん、反応あったりしないっスか?」


 等依とういけば、五奇が輪音りんねの反応を見ながら答える。


「うーん、今のところは無い、ですかね?」


 それを聞いた空飛あきひが口を挟んだ。


「もうこの町から出て行ってしまった可能性はないのでございましょうか? 強者きょうじゃを求めるものが何日も同じ所に留まるというのは……その、大変申し上げにくいのですが……考えにくいかと……」


 確かに彼の言う通り考えにくいが、等依とういがそれを否定した。


「んにゃー? オレちゃん的に言えば、ナイス武器の彼と戦ってーんで、勝負ついてないわけっしょ? なら、決着つけたくなるんじゃないっスかね~」


「あー? 言われてみれば、それもそうですね」


 等依とういの意見に同意すると、五奇いつき探知たんちに気合を入れる。祓力ふつりょくを込め直し、索敵さくてき範囲を広げれば、しばらくして輪音りんねの鈴が鳴った。


「あ、鳴りました! うーんと、この感じだと……記念公園の中かな?」


 五奇いつきが先頭となり、記念公園の中へと四人は入って行く。この公園は池やバーベキュー会場なども設営されているほどの広さがあり、日中は家族連れなどで賑わっているのだが、夜であることと人避けを使っているため、人気ひとけは全くなかった。


「おい、チャラ男! こういう時こそ、式神しきがみだろうが!」


 怒鳴るように鬼神おにがみ等依とういに話を振る。


「はいは~い、今出すからちょいおっまち~」


 彼は簡易式神かんいしきがみを呼び出し、公園内に放った。数多あまた式神しきがみ達は四方八方しほうはっぽうへと飛んで行く。


「思ったのでございますが、五奇いつきさんと等依とういさんの能力、便利過ぎないでございましょうか?」


 関心した声で空飛あきひが言えば、鬼神おにがみ不貞腐ふてくされたように舌打ちをし、き捨てた。


「……悪かったな、役立たずでよ! クソが!」


 そんな彼女に対し、五奇いつきはどう声をかけていいかわからない。空飛あきひ等依とういも同じだったらしく、言葉が出ない様子で、それが更に鬼神おにがみの神経に触ったらしい。彼女がもう一度舌打ちをした時だった。


随分ずいぶん悠長ゆうちょうだねー。先生的には『そういう時こそチームワークが!』とか言うべきなんだろうねぇ」


 闇夜やみよに紛れて響いてきた声に、四人が辺りを警戒すれば、木の陰から人が現れた。


「ルッツ先生!?」


 そこにいたのは、五奇いつきの師であるルッツだった。突然の再会に五奇いつきが戸惑っていると、ルッツは優しく四人に向けて声をかけた。


「なぁに、身構えないでおくれよ。ただの、先輩兼先生からのほんの少しのアドバイスを、ね?」

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