くえすと1! 異世界転生をさせよう!!
…探し続けてからどれぐらい経っただろうか。
あなた達の世界で言うと10年…くらいか??
まあ、世界が生まれてからずっと生きている私にとっては別に10年ぐらい短いものなのだが。
なぜこんなにも見つからないかと言うと、私はこの世界に詳しくないからだ。
なんたって私は全ての世界を統べるものだ。世界がどれだけあるかあなた達は知っているかい???無限に近いんだぞ…
だから大まかな事は分かるが、世界の住人一人一人には詳しくはない。さらにこの世界の地球には70億をゆうに超える人々がいるのだ。日本だけでも1億は全然超えてるしな…。
で、世界にはそれぞれ神がいるのだ。だから私は1回この世界の神にも聞いてみた。のだが…
__えぇ??そのラノベのような人がいないか、ですか??まあもちろん…沢山いますけど…なんで知りたいんですか??
と、質問返しされたので逃げた。
そういうことで、もうきちんと人を選ぶのがめんどくさくなってきたのでもう適当に行こうかな。(こんな神様ですまないな、全ての世界。)
「…こんなことの為に死んでしまうなど、思いもしないだろうな…。」
命の価値は、神様の私にもよく分からない。だがその価値がとても高いものである事は、もう十分知っている。
こういう事は気が引けるのだ。
自分の手で直接、とはいかなくとも運命を変えて死なせてしまうなど。
ラノベでよくあるのは交通事故だよな…
よし、これで行こう。
「………すまない。」
その人が亡くなったあとはどうしようか。1回こちらに来てもらうか。
そしてある程度説明をして……
どんな世界に転生したいか聞いてから転生させよう。
初めてだからうまくいくか分からないが…
しばらくすると、私のいる雲の上に1人の男のスーツ姿の霊が来た。
ここがどこか分からないのか、きょろきょろしている。人間って少し可愛い。
ついでにこの人間について少し知っておくためにこの人間の記憶を見てみるか……
さて、影から見ていても仕方がない。そろそろ出よう_
「こんにちは。」
「こ、こんにちは...。ええっと...あなたは?あと、ここはどこ...」
意外と律儀らしい。
「わたしは神様です!」
それからフフンと鼻を鳴らした。人間はぽかんと、そしてどこか呆れたような顔をみせた。まだ信じてないのだろうか。天使の羽も輪っかもあるのに。まいっか。
なぜならわたしは異世界転生を見たいだけだから!!!
「さて!君には異世界転生をして貰います!!こんな世界に行きたいとかある??」
きょとん。
……意外と乗ってこないな…。
「い、異世界転生とか、興味無い……??」
「あーいや、そういう…訳では…。…聞いたことはありますけど、その、漫画とかあまり読んでなくてどこに行きたいも何も…」
あーーなるほど…。
「じゃあ、私が好きな世界選んでいい?」
「どうぞ。」
「そのどうでもいいみたいな顔やめてぇえぇえぇえぇ」
ええっとじゃあ… と、人間が喋り出す。
「ファンタジー…?」
「よしそれで行こう!!」
「…!」
人間が透けていき、光っていく。
「さあ、また新しい人生を頑張って欲しい!そして…今度こそ、楽しんで、幸せになってほしい!」
この人間の記憶を見た時、知ってしまった。
両親が離婚して、母が幼い頃から1人で育ててくれていたこと。もちろん、そんな家庭だから、決して裕福では無かった。だから学校の同級生と一緒にゲームで遊べなかったりしたそうで。
…その母親は半年前に病気で亡くなってしまったらしいが。
さらに最近も仕事で忙しく、娯楽を楽しむ暇なんて無くて。
…『漫画を読んだことがあまりない』なんて、言わせてしまうようなことを言ってしまったのは、失態だったな…。
……だからこそ、この人間には幸せに生きて欲しくて。
ある程度裕福な家庭で、簡単にだか幸せになれる運命にしてある。あとは本人次第ではあるけど。
人間が転生した世界を覗いてみる。
よし、しっかり転生してるな。良かった良かった。
異世界転生から始まるこの物語を、さあ、この目で見届けようではないか!!
………なーーんて、思っていた時期が私にもありました。
その人間が転生してから大体8年ぐらい経った。物心もついて、ただ楽しい幸せな生活をあの人間…少年は過ごしている。まあそこはいいのだよ。
問題はそこじゃない。
今の一番の問題は………………
少年が転生前の記憶を失っている事!!!!
頭を打って思い出すとかそういうの無いかなって試したこともあるけど、一向に思い出さない。
……これじゃあ…異世界転生の物語をたのしめないじゃない!!!!どうしよう!!!
異世界転生に主人公が気づいてくれないんですけど!? 大上狼 @kaitennsurunorimaki
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