死ぬってなんだ

希死念慮の夜の果て

「こんな世の中に生きてたくない」

そういう事をずっと言ってきた

その記憶だけはきっとこれからも忘れない


そんな「死ぬ」ってのはなんなんだ

この世との決別という意味で

どうしようもならないことからの逃亡で

その人によって様々な意味を持つものか


病気で余命も僅かな誰かは

「死にたくなかったな」と涙を流し

逃げ場がない切羽詰まった青年は

「もう生きてたくない」と涙した


だがしかし「死なざるを得ない」人もいる

死刑囚に明日があるか分からない紛争地域

経済的に貧しい国だって「死」とは隣合わせだ

並べるなと言うかもしれないが実際はそうだ


だからそういう事を考えるってのは

少なくともどん底まで不幸せじゃない証拠だ

どんな明日であれ「明日」があるだけまだマシだ

それでも死にたくなる理由が消えないのも事実だ


そういう国に生まれたんだ

「生きる」か「死ぬ」かを選べる国に

それだけ「死にたい理由」があるなら

僕は自死は否定しない


「親が悲しむ」だとか「きっと誰かが」なんて

そういう事を言う気はさらさらない

そんな事を言えるのは何も知らない第三者が

さして慰め同然に言うもんだと思ってるから


だけどな

そういう人たちの分まで幸せになって欲しい

傷だらけ苦しみだらけの君が掴み取る

不格好な幸せをどうか掴み取って欲しい


そういう僕は今幸せだとは思ってないけど

苦しんだ奴だから言える言葉を探してる

確かに君の苦しみを僕は知らないけど

そういう夜を経験した事は嘘偽りない


吐き出せない絶望に涙して

「もう無理だ」の先の希望はきっとある

そういう機会は誰にだって与えられてる

行き詰まった君にだってその権利はある


だから君にとって

本当に死ぬに値する理由を見つけるまで

どうか生きてはくれまいか

そして君も苦しむ誰かを助けて欲しい


それでもどうにもならないってなら

少なくとも僕は自死を否定しない

そこまで頑張ったのは誰でもない君が知ってる

そしてその選択を決める権利も持っている


自死を推奨する気は無いが

少なくとも僕は同じように死にたかった

それでも死ぬ理由を探し続けてたら

こんな所に辿り着いたんだ


必ずしも僕と同じになるとは限らない

だが敢えて言おう「未来は僕等の手の中」

死にたい夜の明けはきっとすぐそこだ

だからどうか諦めないで欲しいとも思うんだ

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忌まわしき過去に告ぐ @seikagezora

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