第6話

 晴天。

 校庭の周りの桜並木はすっかり花びらが落ち、代わりに若草色の葉が出てきている。

 久々の、無人ではない通学路にどぎまぎしてしまう。でも僕のことを気にしているひとは誰もいない。

 坂の手前で、一度足を止めた。校門は開かれていた。誰のものともわからない話し声がざわざわと耳に響いて、僕は手に持っていた石に意識を集中した。すると、坂道には風の色。僕は深呼吸して、大きく一歩を踏み出した。

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風光る 絵空こそら @hiidurutokorono

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