お互い様 。
どら
第1話
怨霊の一人、吉備真備という者をご存知だろうか。自然死だったにもかかわらず怨霊としてカウントされている。一説によれば、吉備内親王の間違いではないかとも言われている。今回はそんな彼と、彼の友人“朝衡”が死後再開するというお話。
それはまだ暑い日が続く8月のことだった
「さぁ!怨霊の皆さん?今月は何があるでしょうか!せーのっ!」
「.......」
「いやもう少し乗ってくださいよ真備君」
「やけにテンションが高いな道真」
「…いつも死んだ魚の目をしてるって言われるからわざと高くしたんです〜」
菅原道真。ざっくり説明すると彼は平安時代の学者太宰府に左遷され、そこで没した。その恨みから怨霊になったそうで
ここでの道真は俗に言う“やりたがりな人”だった
「いや、お盆ですよ?お盆」
「答え言っちゃってるじゃんかなんなのさっきのは」
「早良君?Be quiet!」
「うっざ。で?お盆だから何をしろと?」
「ん?帰りたい人は現地帰ってええで〜って上が言ってたよっていう報告」
「…それだけか?」
「うんそれだけ(笑)」
現地に帰れる、ということはかつての友人にも会えるということだ。真備は心底嬉しかった。死んだ後も友人と会うことができなかった彼からすると嬉しいのも当然だ…だが、彼には一つ気掛かりなことがある。かつての友人・朝衡こと阿倍仲麻呂だった。彼には唐で再会した時こう言った
「絶対にお前を、日本に、生きて帰らせてみせる」と
だが結果はうまくいかないというのが事実だった
「はぁぁ”〜」
「おいおい真備よ、そんなにでかい溜息付いてたら幸せどころか魂まで抜けていっちまうぞ?」
「長屋王こそ、それ自分が死んでること知ってて言ってるんですか?」
「まぁまぁそんなに怒るなって」
「怒ってねぇわ。で、長屋王はどうするんですか?」
「どうするって?」
「お盆」
「あ〜その事?いや〜今年はいいよ。」
「そう…ですか」
「真備は?」
「……。」
「どうせ仲麻呂がどうとかだろう?大丈夫だ」
「そうなんですかね」
「まぁ、帰りたくないなら無理して帰らないでいいと思うぞ?」
「いや、帰ります。帰らないといけない」
「おいおいどうしたんだよ真備w急に馬鹿真面目な表情をして」
真備は馬鹿真面目というワードにムッとした
「すいませんねぇ!馬鹿真面目で!」
そう言うと真備はバシンッと長屋王の背中をぶっ叩いた
「痛ッ!おい真備…短気な奴…」
お互い様 。 どら @okm_082
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