第43話それから3ヶ月後に。

中途半端で後にしたサンダフォ。

あれから3ヶ月が過ぎ季節は夏。


「お父さん。海辺の町の領主が決まったみたいよ。新しく男爵を拝命した人が成るみたい」

「へえ~、何年ぶりかね新興貴族って?」

旅から帰って次女との会話がそれだ。

海辺の町とは俺とマルクが出会った町で、そこの領主が襲って来たので返り討ちにした

領主の馬鹿息子がマルクの母親を馬車でひき殺したのが発端。

町を出た俺達を噂が立たぬ様暗殺しようとしたのだ。

その後その領主の悪行が明るみに出て改易に成った。

それ以来国領と成っていたのだが。



「その男爵様は何の功績だったんだ?」

「留学中の皇太子暗殺を阻止したみたい」

「ええー、そんなの有ったのか!」

国家の重大事件だよそれ。


「一級傭兵で隣国の人だったけど、皇太子の意向で国籍と爵位を授かったみたいよ。お兄さんも授与式には出たって言ってた。その時お父さんに夫婦共々お世話に成ったって、御礼を言われたらしいの。お父さん誰か知ってる?」

「あ~いや、顔を見ないと分からんな。名前も聞いて無いし」

「名前は確か・・・ソニーネ・フォン・フェリック様で奥様がオリオネ様だったと思う」

「あっ、ソニーネとオリオネかあ」

「知ってるのお父さん」

「ああ、ソニーネは真面目などっちかと言うと寡黙なやさ男で、オリオネは活発な可愛い魔法使いの少女って感じだな」

「あ~わかる。奥さんよく喋ってたし、旦那さんはこの人が一級?って感じだった。持ってたのは曲刀のショートソードだしね」

「日本刀だから少し反りが有るけど、曲刀程では無いよ」

「日本刀?」

「家で使ってる包丁有るだろ、あれは日本刀と作り方が似ているよ。それと・・・二人ともノーネット国じゃ無くてフッカル国の人だと思うよ」

「フッカルってノーネットの向こうだよね。皇太子様はそこに留学してたんだ」

「正直ノーネットには未だ学ぶ事が無いと思うよ。行くなら隣国ケーナルかフッカルだろうけど、ケーナルとは割りと往き来があるからね。・・・にしても誰が皇太子を狙ったの?」

「噂の粋を出ないけど、叔父の侯爵だろうって言われてるよ」

「ネーフェルム王子絡みかあ」

「第2王子のサッフアルカス様が身体弱いから、今の皇太子の第一王子メルデラント様が邪魔なんだと思う」

「王政国家の厄介な処だな。ケーナルが一番安定した国で羨ましいよ」



しばらくしてソニーネに会いに行った。

今度はフランも同伴している。

危険度を考慮してのものだ。

そして側にはギザでは無くて周防さんだ。

ギザは出納している。

周防さんの人間の風貌は背の高い銀髪の30代で、武骨ないかにも用心棒って感じ。武器はメイスで初めて俺はこれを見た。

ミシケそうだと言ったら周防さんは首を傾げていた。

周防さんなのに・・・。


「空に浮いてた人!」

オリオネのフランを見た第一声に笑った。

周防さんの名前を出したら、二人とも固まった。

皇太子様が御滞在と聞いて最強の布陣ですと答えておいた。

実際にホワイティを領地に残しての最強の布陣なのだ。


ここに着いて直ぐに、ギザには王都の侯爵邸を見張る様に指示を出した。いや、如何になんでも一晩で王都迄走らなくても・・・?。

『主様はギザミパンサーの速力を御存知無いので?』

『えっ、ギザお前そんなに速いの』

『私目1日でこの国を縦断出来ます』

びっくりしたが、少し休んでから侯爵の見張りをするよう頼んだ。



私ことギザミパンサーのギザは、30数年前特級傭兵のパーティーに遭遇した事が有る。

寝起きでボケていたせいか、迂闊にも魔法攻撃を喰らってしまった。

この脚力で一瞬で逃げ切ったが、ちょっとした傷だった。

そこに5歳くらいの少年がいたが、別に悪意も何も無かったので(私は人の心に入る事が出来るので、その人となりが解る)そこで休んだ。傷が割りと痛かったからね。

するとその少年が薬草で傷を癒してくれた。治癒魔法では無くて薬草本来の物理的な湿布だった。

ただね異常に治りが早かったので、あれは女神様が何かしらしたと思う。だって女神の加護を持ってたもの。

それが今のアルミ様、私のご主人様だ。

アルミ様のストレージに入ると意識は無いけど、出た時はとても爽快で何もかも治っている。

ただ、あの時の傷を癒して貰った思い出意外消されていた。


ストレージには主様に対する以外の事や、敵愾心細菌ウィルスその他悪いものが排除されるらしい。

主様は幼い頃動物好きで色々な動物の傷を治しておられた様だが、まさかワイバーンや黒土蜘蛛迄治しておられたとは。


イバンは主様を見つけて思わず降下して行った所をストレージに収納されたらしい。

黒太郎はボーっと主様を見ていたら収納されたとか。

チビはただ単に人懐っこいから収納された様だ。

多分チビ以外は女神様が手を貸していると思う。

偶然が過ぎるからね。


だから私は主様の為に死ぬ覚悟で働いている。


今回は嫌な予感がする。

主様は優しい面が有るので、そこが狙われるかも知れない。

僅か十歳の王子だが、どうも魔素でウィルス化したものが、胎内時から取り付いていた様だ。

心を覗いて解った。


もう一つ侯爵だがとんでもない奴で、こやつのウィルスが原因と思われる。

こやつ自分の娘を凌辱して生ませたのが王子の様なのだ。

狂っている。

王は知らなかったみたいだ。

この国はもしかすると崩壊の危機に有るかも知れない。

あの友加里を召喚した神は、十柱の上の神の様なのだ。

かなり嫌な予感しか無い。

だって友加里は十柱に匹敵する力を有しているのだから。


フランがそう言っていた。









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依存症爺は転生してパチスロ無双に成れるのか?。 日前みかん @hikumamikan

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