第2話 表 取り返す刻
私の名前はライ。村人からは「左腕」と言われ石つぶてを投げられる。
唯一優しくしてくれる女神官は「この世をおさめな」と旅立ちを促す。ワードバトル。それは言の刃による攻撃方法。蛇を宿さぬ全ての体の部位にきくスペル。
小白竜が昇竜をこなし、その手足や角さえも削り落とし大蛇化した現君主レイにライのつんだスペル壺の中で、生き残り一人のデスバトルを行う蟲毒が叶うか叶わないかは神のみぞ知るのだが、女神官は「左腕の竜とは秀才。右脳を開花し左脳を壊さない究極の蛇塚いの事をさす。それ以外は天才。溢れる言語情報に耐えきれず左脳を破滅させる」と王の座奪還を薦める。有意義な人生を選択したいライはレイと闘う事にした。
世界が闇に覆われたのちに現れた、左腕に宿りし深夜。
質素な身なりでライはかつてはライのモノだったレイの居城に訪れた。
ライには記憶が無い。清貧な身なりで左腕の竜に挑むその子レイの寿命を使って寿命をのばす左腕の竜ライは入れ替り、約束の時に現れた。「昇竜」言の刃の電撃が走る。レイのスペルだ。「蟲毒」ライも負けずに言の刃のスペルを放つ。居城の奥に鎮座していたのは寿命を半分奪われた恐怖から薬物中毒化したレイだった。暗いその世界に一人灯火の様に発光するライ。両者の腕の竜が吼えた。噛みつき傷をあたえようとするも食い込んだ牙を食らいつき毒が出ぬ間にへし折りふりまわし続ける。ふりまわしふりまわして勝者が決まった。ライだった。その瞬間ライの脳裏に消えていた記憶が去来した。あたたかな心を女神官から与えられていたライは息絶えた模様が消えてく、豪奢な服に包まれたレイをかたく抱きしめ、涙した。
おわり
自主企画sample「左腕の竜(蟲)」(21.03.06.) 宝希☆/無空★むあき☆なお/みさと★なり @nkomak
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