深夜に食べるラーメンはうまい

深夜に食べるラーメンはうまい

「いやー、先輩ありがとうございます。」

「電話で呼び出されたときは何か事件に巻き込まれたのかと思ったが、まさか虫が出たからだったとは拍子抜けだぞ。」

「いやいや、私からしたら部屋に虫が出ることは何か事件に巻き込まれたのと同義ですよ。」

「流石にそれは言いすぎだろ。」

「そんなことないですって、北の方ではそう言うのは全くと言っていいほど無かったので耐性が無いんですよ。」

「へぇー、あ、そう。」

「うわぁー、すごい反応が薄い！なんすか疑っているんですか？」

「いや、ただ単に興味がないだけ。」

「それはそれで悲しいですけどね。それにしてもこんな深夜にありがとうございました。」

「うん？いやいや大丈夫だよ。お前の無事が分かっただけでも良かったさ。」

「うぅ、先輩は本当に優しいですね。たまに冷たいけど。」

「その一言は余計かな。」

「まぁ、流石に何かお礼しますよ。」

「お礼か・・・、こんな深夜に男女がやることと言えば？」

「おっと、先輩お盛んですね～」

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「ズルズルズルズル、いやー、こんな深夜に食べるラーメンは格別ですね～」

「そうだな、背徳感がヤバい。」

「ですよね！先輩はよく分かってらっしゃる。」

「だが、なんでお礼がラーメンなんだ？いや、まぁ、お前のおごりだし、ラーメンもうまいから文句は無いんだが。」

「えっ？ただ単に私が食べたかっただけですよ。」

「はっ？」

「いや、だって、深夜に女1人でラーメン屋に行くって結構ハードルが高いんですよ。」

「だから、お礼にかこつけて深夜にラーメンを食べようと？」

「そ、そういうことです。」

「お礼？」

「お、お礼ですよ！というかコレ私のおごりですよ。それに後輩におごられてなんとも思わないんですか！」

「人の金で食う飯はうまい、としか思わん。」

「絶対先輩、友達いないでしょ。」

「別にいないことも無いが、お前がいるから十分だ。」

「・・・なんで先輩はそう言う事を不意に言ってくるんですかね。」

「ただ思ったことを言っただけさ。・・・そう睨むなって、麵が伸びるぞ。」

それから俺たちは軽口を叩きながら、ラーメンを啜る。

「いやー、美味しかったですね。」

「そうだな。やっぱり深夜に食べるラーメンは格別だった。」

「ついつい汁まで飲み切ってしまいましたよ。」

「カロリー凄そうだな。」

「カロリーは気にしてはいけませんよ。それにどうせ今から消費するじゃないですか。」

「あっ？」

「深夜に男女がやることと言えば？」

「フッ、お盛んなこって。」

そうして、俺たちは手を繋ぎながら、アパートに戻るために夜道を後にする。