第11話 エピローグ
ぴぴぴぴぴ…
激しく電子音が鳴り響く。そんな光景をお偉いさん達は諦めたような目でこちらを見てくる。「お前らそれでも医師か?」と言いたいが、俺の使命は藍を救うことだ。
見つけた。コイツだ。コイツを処分してコレを入れれば良い。
その操作をした途端、激しい電子音はゆったりとしたペースに戻った。
成功したのだ。
俺の手で救ったのだ。
世界初、俺の患者で。
俺の最愛の人をだ。
10年間。この病気とずっと向き合って、治療法を見つけた。
人類の進歩。その中に俺と藍は貢献したのだ。
オペが終わって2時間後、藍は目覚めた。勝手に体が動いていた。
その場で時間が止まったように藍を抱きしめた。もちろん力は緩めた。まだリハビリもできない体に負荷をかけてはいけない。
俺の最愛の人はこう言った。
「私を救ってくれてありがとう。大好き。」と。
俺は力を強めてしまった。どうしても、そうしてはいられなかった。
「俺も好きだ。愛してる。」
この日、あるALSの患者を救った1人の医師がいた。彼の成したことは世界中の医療界隈を、驚かせた。もちろんノーベル賞を受賞した彼はこう言った。
「愛する人を救うために、貴方はどこまで自分を鼓舞できるのか。それは、その人次第でそれがたまたま俺は、10年間も鼓舞できた。だから。」
彼はこう言葉を占めた。
"愛する人の思い出は淡く、美しい。淡いほど透き通る思い出が俺にくれた奇跡が今の俺のカタチなんだ"
end
透き通るほど淡い思い出に。 山下かりうむ @kokone1014
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