え? 一緒に風呂に入りたいって?
テンション高めの妹のニア。テンション低めの姉のイチカ。俺の家に二人は来ていた。
「もうそろそろ帰った方が……」
俺は言った。
「いや、今日は……」
イチカはニアをチラリと見る。ニアはコクリとうなずく。
「泊まっていくからな」
イチカは言った。
「なんでだよ。布団なんてないよ!」
俺は言う。
「いや、そのシングルベッドで3人で寝たら良いじゃないか」
とイチカは言う。
「いや、流石にそれは無理でしょ。誰かが落ちるよ」
俺は言った。
「大丈夫だろう。こう私たちが、こう上から挟むような格好なら寝られるハズだ」
イチカは三角形の形に手を作った。
「私たちのおっぱいクッションがあるから熟睡だもんね」
とニアがイチカに言う。いや意味が分からないが。
「ところでカズキお前ちょっと臭うぞ」
とイチカは言う。
「えーちょっと……クサッ!」
とニアは俺の体を嗅いで言った。
「あのなぁ。俺風呂に入れてないんだよ。臭くても仕方ないだろ」
俺は言った。
「可哀想だな。カズキ。うつ病というものはこんなに人の心を破壊してしまうのか」
イチカが言う。
「ヤバイブラック企業死ねよ! カズくんをこんなにして!」
とニアが怒った。
「ま、とにかくだ。風呂に入った方がいい」
とイチカが言う。
「ちょっと待って! その前に」
俺は遮った。
「お父さんに電話するわ。ちょっと待ってて」
俺は言った。
「えーー!!」
とニアが叫んだ。
「父親には話してあるが」
イチカが言う。
「念の為だよ」
そう言うと俺はこの姉妹の父親である如月宗太郎さんに電話をかける。
「夜分遅く申し訳ありません。神谷一樹です」
俺がそう言うと電話口で大きな男性の声がする。
「おっ! 久しぶり。どうだね。うつ病の調子は」
と宗太郎さんが俺に声をかける。
「お恥ずかしながら寝たきりでして」
俺は言う。
「あのー娘さんお二人がここに来てるんですが……あの……どのように」
俺は言った。
「あーなんか君のことが好きみたいだね。いーよ。いーよ。やっちゃって」
と父親の宗太郎が言った。
「えっ! あっ!」
俺は戸惑う。
「でも無理矢理は駄目だからね。もう二人は大人なんでそんなの僕にイチイチ電話なんていらないよぉ! お互い好きならそりゃ愛し合うでしょ」
宗太郎さんは言う。
「えっ! あっ!」
「でも妊娠した場合はちゃんと責任取ってね。じゃあ」
と行って宗太郎さんの電話は切れた。
「どうだった?」
とイチカは言った。
「泊まってオッケーだって」
俺は言った。
「やったー」
とニアが言った。
「やったな」
とイチカが言う。
「ではまずはカズキ。早くシャワーを浴びてこい。私たちも心の準備をするから」
とイチカは言った。
「なんか緊張してきた。カズくん。私とお姉ちゃんどっちの方を先にしたいとかある?」
とニアが恥ずかしそうに聞いてくる。
俺はこの姉妹に手を出せない理由があった。この二人はいわゆる……ヤクザの娘だった。手を出してややこしいことになったら俺はこの世に存在出来ない。それに何よりも結婚ってことになったら最悪だ。だって自動的にヤクザと家族になるんだが。平穏無事な生活とはこれでおさらばになる。
まさにヘビの生殺しだが……ここは俺の自制心が試されるな。
「でも、俺はうつ病が酷くてさ。風呂にも入れないんだ。ダルくてこう頭も洗えないからさ」
俺は言う。
「なるほどな。では私が洗ってやろう」
とイチカがいう。
「えっ? 流石にそれは……」
いや、マズイだろう。俺は思った。
「さぁ。風呂に入れ。カズキ。こんなこともあろうかと私は水着など……当然の如く持ってきてないから安心しろ。カズキが裸なら私も裸だ。私は正々堂々が好きなんだ」
とイチカが言った。もはやどう突っ込めばいいのか分からない。
しかし、俺は何故か股間がギンギンになっていた。こんなむさ苦しいところに女子が二人いる。その香りだけで俺は勃起していた。
「さぁ脱げ」
イチカは言う。
「キャーーー」
と手で顔を隠しながらわざとらしくニアが言った。
いや、流石にこの凶悪なものは見せられない。
「分かった。脱ぐ。ただ君らの見えないところでだ。あとシャワーは一人で浴びる」
俺がそう言うと
「えーーー」
っと姉妹の両方が言った。
「えーーじゃない!」
俺はそう言うとさっさと脱衣場まで行き服を脱ぎ全裸になって風呂場に入った。
「駄目だ……フラつくな……」
しっかし、なんなんだ。あの姉妹は。これはフッっと笑う。いきなり風呂に一緒に入るとか言い出してあといきなり一緒に寝るとか。もう無茶苦茶じゃないか……でもあいつらなりに心配してくれてるんだろうな。俺はそう思った。俺は受け入れないといけないのかも知れない。あいつらの看病を。なんせ俺は病人だからな。
俺がそんなことを考えているとなんだか……フラッっとフラつきバタンっと倒れた。
「あっ! たた……」
「大丈夫? カズくん!」
「大丈夫か! カズキ」
風呂場のドアの向こうから声が聞こえる。
「大丈夫だよ。滑っただけ。怪我はない。だから入ってこないで」
俺は言った。
「分かった! 一緒に洗い合おう。カズキ。貴様に拒否権はない」
と言いながら風呂場の扉を開かれ……あっ! 誰か入ってくる!
◇
この作品はエロコメディ的な展開になりそうです。
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