第2話 黒い葉巻

 朝日が窓に差し込み、中を明るく照らす。

 敷き詰められたピンクのタイルが、先程までとは打って変わって華やかなものになる。

 そこに作業着を着てゴム手袋を付けた中年女性が入ってきた。

 ふっくらとした体格の女性である。

「何かしら?」

 女性の視界に黒い物体が入ってきた。

 それは人間の子供と同じくらいの大きさで、葉巻のような形をして、床の上に転がっている。

 ――何だか怪しいし、通報した方がよさそうね。


 警察が小学校に来た。

 小学校に勤務する用務員から通報を受けたのだ。

 三階の女子トイレの中に不審な物がある、と。

 警官達は校舎の三階に向かっていき、そこの女子トイレの中に入っていった。

 床の上に転がっていた物体を見つけ、黒い毛を巻き取るようにして解体すると、中から男の子が出てきた。

 小学校高学年くらいで、半ズボンとTシャツを身に着けている。

 目を閉じていてぐったりとしており、唇が紫色になっている。肌も青白い。

「キミ、しっかりしろ!」

 警官の一人が、男の子を揺さぶりながら声をかけたが、返事は無かった。



 警察が黒い葉巻のような物体を解体した次の日。

 解体に携わった警官達は、体調不良で寝込んでしまった。

 原因は物体に付着していた細菌やウイルスだった。

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トイレのハナコさん 矮凹七五 @yj-75yo

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