荒廃した未来の世界。ある日、見習工のノイエ少年は〈屑鉄平原〉で空から落下してくる物体を目撃する――。そんな「親方! 空から女の子が!」な王道展開でありながら、良い意味で全く先が読めません。丁寧な描写で展開される物語を読んでいくうちに、この世界が荒廃しており、世界の脅威から人間達が肩を寄せ合うようにして生活している様子が実にリアルなものとして迫ってきます。まだ遠く、なぞに包まれた〈王都〉の存在。そこから来たと思われる少女や、不気味な敵。密度の高い骨太なSFです。