片思い

ta-KC

片思い

きっと片思い

ずっと片思い・・・

一途なんて言われるけど

そうじゃない

ただ・・・

ただ・・・・・・

彼女しか俺のことを本質で見てくれた

それだけだ


「またね!」

彼女の声に離れがたくて

愛しくて

スー

振り向き後姿を見せる彼女の肩口

そこにそっと手をのばし

引き止めるように抱きしめた

「!!」

彼女の体は硬直した

そして

「どうしたの?哲君?」

笑っていた・・・

冗談だと思い彼女は笑っていた

いや、気づいているのだろうけど

笑ってごまかしていた

それが正しい

わかってしまって悲しくて手がほつれる

下を向く俺

振り返り彼女は

「哲君?」

心配そうにこちらに問いかける

それに俺は

「ごめん!ちょっとね!やばい!セクハラかな!?」

テンションを高くそして悪戯気に話す

漫画のように頭を掻きながらおどける

彼女の顔は見れない

すると

唇に温かくやわらかな感触

下をみていた俺に不意に近ずく人の気配とともに

彼女の顔が目の前に

一瞬の出来事

「またそうやって・・・悲しそうに笑わないで・・・」

そういって抱きしめられた

温かい・・・

そして

悲しい・・・

だって

これは・・・

きっと・・・


手を後ろに回したくなる

実際途中まで手は動いていた

しかし

回すことができなかった

知っている彼女の気持ち

彼女は僕を見ている

けど、彼女の視界にはもっと大きな存在がいる

話していた

嬉しそうだった

・・・

悔しかった・・・

俺より大きな存在が彼女を包んでいるんだ

この場にいないのに


俺の手は空を漂おう

硬直する体

固まる心

思考は止まり

ただやりようのない想いをかみしめる

「ね?」

声をかけられる

「私ね、哲君は好きだよ・・・」

そのあとの言葉は・・・

こんな俺でも想像できた

「ごめんね」

やっぱりそうだった

「でもね、今は本当に愛おしくて・・・哲君が・・・恋しかった・・・だから・・・」

彼女の言葉を一言一言かみしめる

うれしいはずの言葉

けどこれは・・・

そうこれは彼女なりの拒否の言葉・・・

今だけ

この一瞬のために彼女が出した優しさ

残酷なやさしさ

このまま彼女の言葉に流されて

体だけの関係を求めれば楽だろう

けど・・・

「ありがとう」

言葉をなんとかしぼりだし

そして、つかみどころをなくしていた手は

彼女の両肩に添えられていた

「でもね、俺やっぱり諦めるとかいいところで止めるとか・・・できないや」

「・・・」

彼女を困らせている

わかっていた

「哲君私、嫌な女だよ?その言葉聞いて戸惑いもあるけど都合のいいことも考えてる」

彼女は悲しそうに話す

「俺はね、そんな君の人間ぽいところもそして不器用なやさしさも・・・全部好きなんだ」

彼女は少し強く抱きしめてきた

それには今だけこの瞬間だけ

肩から彼女を覆うように手を動かし

抱きしめた


きっと片思い

これからも変わらない

そんな気がする

でもこの気持ちが変わっていくことはない

いつか誰かと一緒になってもこの心は隅に置いてあるのだろう・・・

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片思い ta-KC @take0520

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