第4話 青い光からの逃亡

 私はよく頭が痛くなり、唐突な眠気に襲われる。テンションの変動も激しく、その度に家族や友人、恋人に迷惑をかけている。制御できない自分は、また別の自分なのであっ

 た。

 頭の片隅から第三者視点で、奥の方に住む自分が、狂った自分を見つめているような気がする。おかしくなってしまった自分は、自分の意志で演じたものではないのだ......


 その現象は高校1年生の頃から続いている。自分で自分を思うどおりにできない苛立ちと、人に迷惑をかけてしまっている己の不甲斐なさによって、精神を病む事も多々あったのだ。だが、今日、ようやくその原因が判明した。


 スマートフォンだったのだ。文明の利器が私を怪物にしていたのだ。あの青い光を見ると目が痛くなり、頭が痺れ、吐き気を催し、遂には眠ってしまう。


 なぁんてかっこつけて言っているが、単にブルーライトを見たら酔ってしんどい、というだけなのだ。まだ難しい言い回しをする自分に酔ってしまうような「おこちゃま」なもので。

 私は本当に光る画面というのが苦手らしい。ほんの思いつきでデジタルデトックスをしてみたのだが、まぁ気分が良かったのだ。


「スマホが無かったら何をすればいいんだよ」

「スマホがなかったときの自分、どうやって生きてたっけ」


 と思っていたが、案外大丈夫だった。いや、そっちのほうが良かった。私は一日中歌って踊って飛び跳ねて。ピアノを弾いては笛を吹き、自転車に乗り、インコを可愛がった。外国の歌の歌詞の意味を考察してみたり、炊きたてのご飯に卵と納豆を入れて食べてみたり、とても自由だった。

 ひたすら動き回っては美味しいものを食べて、原始的だなぁと思った。元から自然が好きな私は、都会やデジタルな社会には適応しづらいアナログな人間なのかもしれない。工学系な自分にとっては致命的だが、自分にとって楽な生き方がわかったことは、かなり大きな収穫だ。


 これからは適度にデジタル機器から離れて過ごしてみようと思う。もちろん、小説書きは続ける。自分の好きなように生きるのって楽しいな。精神的苦痛が和らいだ気がする。このままでいたい。





 良い気分だし、英語の勉強だけして今日はもう寝ようか。




最終更新日9月23日23時4分

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