第3話 全てを狂わせる承認欲求

承認欲求というのは恐ろしいもんでして。認められたい、自分の価値を知りたいという安易な考えのために、唯一無二な時間を浪費して逝くのです。

SNSは沼です。底なし沼で、うじゃうじゃと怪物が潜んでいるのです。本当か嘘か、はたまた存在するのかも知らずに、踊らされているのです。

それは誰の手のひらの上か。運営者でしょうか。それとも詐欺師でしょうか。はたまた......

私も承認欲求の獲物です。現にここに小説を書こうなど、自分が認められたいという欲望の塊だという自己紹介でしかありません。

SNSもたくさんします。最初は好きな写真を載せます。どんどん載せます。好きなこともどんどん言います。そしたら少しばかりの高評価を得ます。これが麻薬なのです。

今まで自分なんて存在する価値もないと。褒められたことすら数えるほどあったか否かの人間にすれば、それは生きる理由にもなり得るのでした。

日に日に投稿頻度は上がっていきます。少しずつフォロワーとやらも増えていきます。もっともっと、と評価を求めます。他人から押された1つのボタン、1つの言葉。喉から手が出る程欲しくてたまらないのです。撮る写真や零す言葉。それが全て、「他人に評価される為に人為的に作り上げられたモノ」となってしまうのです。もはや別人です。私ではない。

ある日を境に、何をしても反応が得られなくなる。



ねぇ、どうして?私は今生きてますよ、ほら、投稿をしたじゃぁないの、私の言葉が見えないの、ねぇねぇ、見ているんでしょう、あなたが今投稿したのが見えましたよ、あなたのところにも私の投稿が上がっているでしょう?同じ穴のムジナなら、私が欲しいものもわかるでしょう?どうして、どうして放って置くのですか、、、



次に反応が欲しくなって、また投稿する。誰かが反応する瞬間を、通知が来る瞬間を見たくて、何度も何度も画面を更新する。

こうしてどれだけの時間が過ぎ去ったのでしょうか。私が得られたものは何一つありませんでした。それどころか、精神を病んでしまったのです。


あの子のほうが馬鹿ばっかりしてるのに、 私の方が良いものを投稿してるのに、比べて、喜んで、比べて、悲しんで......初めからわかっていたのです。何処にも居場所は無いと。ネット上だろうと、現実だろうと、他人は他人に変わりないのです。自分がそうじゃないですか。やだなぁもう、自分がしないできないことを他人に求めるんじゃぁありませんよ......


でもやっぱり沼なのです。今日もまた、画面を更新して見たくもない記事や画像を、通知が来るまでの暇つぶしに脳に流し込んでい

るのです。間抜けだなぁ、実に間抜けなのです。こうするしか、一日を生きる術がないのです。愚かでしょう、笑いもできませんね。きっと一生を私を生かしてくれる愛すべきインターネットに捧ぐのでしょう。嬉しいですか?悲しいですか......?






最終更新日2021年9月22日22時36分


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る