日本フルハップCMで何故社長（オール巨人）は叱られるのか問題

本論

　日本フルハップCMの「社長」役が財津一郎からオール巨人に交代し、今年で5年目となる。

　巨人演じる「社長」と阪神演じる「専務（？）」が、掛け合いのように日本フルハップを讃える歌を歌い、最後に「社長！」と叱られるCMも、すっかり我々の生活に根付いた。

　ただ、本CMについては、未だ疑問を覚える者も少なくないらしい。

　世に言う「日本フルハップCMで何故社長は叱られるのか問題」である。

　まずは下記URLから、実際のCM動画をご確認いただきたい。

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　CMライブラリ | 日本フルハップ

　https://www.nfh.or.jp/cm/index.html

　※2021年9月現在。将来的に掲載内容変更の可能性有り。

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　社長がコール、専務（？）がレスポンス、続けて社長が歌った所で、専務（？）に「社長！」と叱られる。

　これに対し、「お前も歌っとったやろ」「タイミングおかしいやろ」という感想を持つ者は過去にも度々現れた。

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　Yahoo!知恵袋 2020/11/03：https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10233601605

　Yahoo!知恵袋 2021/02/04：https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12238339457

　Yahoo!知恵袋 2021/05/17：

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13243303028

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　彼らは皆、意味のある答えを得られないまま、無理に己の内の疑問を飲み込み。

　そのまま歴史の闇に沈んでいたようだ。

　実の所、「社長」は何故叱られたのか？

　CM動画を見れば、これは一目瞭然だろう。

　端的に言えば、「最初は体操をしていたのに、途中からダンスになっているから」だ。

　就業中に体操を行うことは、デスクワーク従事者の健康のために推奨すべきことであるが、それがダンスとなれば話は別である。

　目的が健康維持ではなく娯楽に――就業中の悪戯（わるふざ）けになってしまうのだ。

　ここで、「社長は本当に叱られる程のことをしたのか？」「専務（？）がパソコン打ちながら歌ってたのも問題では？」という疑問はあろうが、少なくとも「社長があのタイミングで叱られた」理由に関しては疑問が残る余地もない。

　それでは、何故「日本フルハップCMで何故社長は叱られるのか問題」は、定期的に取沙汰されるのだろうか。

　ここには、日本フルハップCMの構造上の問題がある。

　第一に、これがCMであること。

　第二に、これが15秒CMであること。

　第三に、リズムネタであること。

　テレビCMは、テレビ番組の間に挟まれる広告映像であり、番組自体に興味のある視聴者が意識して見ていることは少ない。

　つまり、この日本フルハップCMは、多くの場合において「最初の数秒を見られていない」のだ。

　15秒の内の最初の数秒を見ていない視聴者は、そこで「社長」が「体操をしていた」ことを知らない。

　彼らがテレビに目を向けた時には、既に社長はダンスをしている場合すらある。

　では何故、途中からでも視聴者は日本フルハップCMを見てしまうのか？

　それは勿論、このCM自体が軽快なリズムネタであり、画面から視線を外していても、つい目を向けてしまうが故だ。

　「途中から見られる状況が多い」にも拘らず「途中から見ると状況が（完全には）把握できない」、この構造こそが、「日本フルハップCMで何故社長は叱られるのか問題」が発生した理由なのだと言えよう。

　映像やコメントの切り抜きによる意図の誤解・歪曲が度々問題となる昨今。

　日本フルハップCMは15秒という短い時間の中で、意図せず自ら「切り抜き」による誤解を生んでいたのだ。

　この話の教訓は、「人の話は最初から最後まで聞いた上で意見を言いましょう」といったところか。