現実世界が舞台なのに、非現実的な物語が裏で起こっている。普通の人は漏れ出る異常におかしいなとは思い疑うけれど、確信には至れない。何せ起こっているのは裏だから。
そんな、謂わば表で生きていた主人公が、何の因果か裏で生きていくことになり、葛藤であったり恐怖や不気味さを体験していく、硬派なホラーです。
世界観もとても細かく編み込まれていて、漠然と考えたものではなく、しっかりと悩みながら考え、物語を書かれていることが文字から伝わってきます。
とても面白いです。上から目線な言葉になってしまいますが、感心しました。そして関心を抱きました。是非ともこれから書き続けて完結させて欲しいです。
陰ながら応援しています。頑張ってください。
平成30年。渋谷のスクランブル交差点で27人の犠牲者を出した痛ましき事件。
犯人は20代の男性。現場に駆けつけた警官によって現行犯逮捕される。
動機は不明、凶器は素手……。
衝撃的な事件で始まる物語。
主人公の『奥山情門』はこの事件の犯人である。だが犯行の記憶はない……。
刑事の厳しい取り調べの中、現れる公安第五課の『天羽』。彼から告げられる『鬼』の存在。
奥山の身に起きた驚愕の真実、明らかになってく未知の存在。物語は序盤から衝撃を与え続けてきます。
丁重な文で書かれる物語は、迫力ある戦闘に躍動感を、悲劇にはどこまでも残酷さを、非現実に身を置くことになった者たちが持つ不安と、僅かな希望に揺れる心を表現していて鮮明に伝えてくれます。
敵のおぞましさ、迫力も然る事ながら、事件を解決に至るまでの考察、思考の描写は、身の危険が迫る極限状態での推理小説を読んでいるようで、一番興奮するところです!
おすすめの作品です!!