隣の席の女子が有名asmr配信者ってことを知ってしまい、それを伝えると実験台にさせてくれと頼んできた
@yuyuyunoyuurei
第1話
「あー、マジだりぃ…」
大学生になったものの、特に何もせずに一年を過ごし終えてしまった。毎日スマホを弄って、昼まで寝て。そのくせ性欲は猿のごとく有り余ってるから、画面上の彼女にお世話になっている。
そんな中、今のイチオシはとある動画投稿サイトでチャンネル登録者1万人を突破した、「ふわりの癒し屋さん」。顔は映さずに、囁いたり手の爪を机に軽く叩きつけるだけ。胸も、残念ながら…な感じだし、これといってエロいわけではない。これはいわゆる「睡眠導入」ってやつなのだろう。しかし何故か、ヌける。
耳にかかるゾワゾワとした高い声。最初は落ち着かなくて不快感の方が強かったが、だんだんとその声の虜になってしまった。
『次はぁ、おみみにふわふわ、するよ?』
彼女の吐息の一言一句まで届く、このマイクにノーベル賞を与えたい。イヤホン越しに揺れる梵天の後ろで聞こえる、小さな吐息。
『ふーわ、ふーわ…』
穏やかな彼女のオノマトペ。スマホで疲れた目がだんだん閉じて…心地よい眠りに…つかないのである。
「あー…また勃っちまったよ…」
腹の奥から湧き上がる、ムズムズとした感覚。布団をまくると息子はギンッギンに起きている。
子持ちの親の気持ちがよくわかる。とにかく、こいつを寝かさないとどうにも出来ない。
『きょうもぉ、よく、がんばったねぇ、』
ぞり、ぞり…
耳に振動が伝わるたび、ビクン、ビクン、とソレは震える。
『あとは、なにが、ききたいぃ?』
一通りの耳かきが終わり、視聴者に投げかけられる質問。すぐさま逆さを向けていた端末を表に向け、要望を打ち込ませていただく。
:ぎゅーぽんして
ぎゅーぽん、とは、彼女の手で耳を塞ぐ、アレだ。
『じゃあ、きょうはぎゅーぽんで、おわろうかな』
やった、俺のリクエストが通った…!!
この配信をリアルタイムで見ている人間は百人程度、コメントする人数も減ってきて、比較的要求が通りやすい。
『ぎゅー、ぽんっ、ぎゅう、ぽんっ』
手で耳を塞がれる奥で聞こえる彼女の高く、甘やかな声。
「はぁっ、んぁっ、」
シゴく右手が速度を増し、息子の高鳴りがクライマックスに差し掛かる。
(アアッ、くるくるくるくる…)
『お耳、きもちいい?』
キモチイイです。非常に。
『じゃあ、さいごのぉ、ぎゅうーーーー、ぽんっ、』
ビュルルルルルルルッ!!!!
声にならない声を上げながら、左手に持っていたティッシュにソレが収まっていく。
『はいっ、おわり。明日もやるから、イイコにして待っててね』
エンディングに差し掛かってもなお、瞼が開いている男、それが俺である。
「もう2時かよ…」
長い賢者タイムを終えてやっと、眠くなる。
明日は一限からあるというのに。ヌいて眠くなるならさっさと適当なAVを拾えばいいのに。清純なチャンネルでこんな不埒な使い方をしていることに、罪悪感を感じているのに。
なぜ、こんな1時間強という長い時間を使って自慰行為に走るのか。これが背徳感というものなのだろうか。
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