武蔵野市・都市伝説伝 徐々に明かされる正体編
DITinoue(上楽竜文)
第3夜 動物中毒
「キャァ~カワイイ~!!」
中学2年生、石川由美子は、うさぎに会えるカフェで、ウサギのかわいさに
酔っている。
「うひゃ~、うちに連れて帰りたい!」
うさぎと触れ合い、コーヒーを飲んで、完全にこのカフェにハマる。
次の日———由美子は、井の頭自然文化園で、リスを見る。直立をして
歩く姿が何とも愛らしい。カモシカ、テン、キツネ、そして由美子の一番の
お気に入りとなったのが、フェネック。サハラ砂漠などに住む、耳の大きな小さな
キツネらしい。その姿が何ともキュートで、かわいく、完全にとりこになった。
「可愛すぎるよ!これも欲しい!飼育は大変そうだけどね」。
数か月後———由美子は今度は、彼氏の犬養弦希と、カピバラと、ネコがいる
カフェ、「カピねこカフェ」を訪ねた。
「カフェでカピバラと会えるなんて。ああ~ん最高!」
「だな!部活帰りには毎回ここ来たいかも!」
カピバラに餌をあげたり、ネコを見ながら2人で楽しい時間を過ごしていた。
その翌日———由美子は、弦希、そして幼なじみの由良と一緒に、また
カピねこカフェを訪れた。
「キャァ~カワイイ~!いつ来ても飽きない・・・!」
その日から、カピねこカフェやうさぎに会えるカフェ、自然文化園を毎日
訪れた。そして、かわいさに日に日に浸っていった。
「ふむふむ。これは厄介な呪いだな・・・。謎野雷喜、今度はあれだ」。
地面から声が聞こえる。そのそばに、都市伝説面担当の新聞記者、謎野雷喜が
いた。謎野は、地面の声と何か関係があるのか。
「分かりました。ムサシさま。この呪いを解けば、ムサシさまの地位も
安泰でしょう」。
「うむ、お前にはますます働いてもらうぞ・・・」
パチン! 指パッチンの音が鳴ると、謎野は、そこにはおらず、声も消えていた―—
その日から3人は毎日ここに来た。3人だけじゃない。町中の人がここに来た。
動物は、みんなになついていた。カフェや自然文化園の職員は、忙しくなる
ばかりで、ずっと働いている。
ある日のこと―—―学校で、病院についての授業があった。最近は、武蔵野市の
入院患者数は、増加傾向にあるらしい。そのほとんどが動物から移る病気だったり、
過労が原因だった。過労死する人も出て来ている。
(なんか変な気がする。動物とつながっている――?)
その時、何かが由美子の頭の上を飛び去った。
(まいっか。そんなはずないよね。あんなに楽しいところが)
謎野は、街へ出ていた。そして、猫カフェにやってきた。
そこで、ネコを、じっと観察していた。ネコは耳をかいたりしている。
シュッ! 上空で何かが飛んだ。
「さあ、そろそろ呪いを広めるのはやめてもらうぞ。フランケンアニマル」。
先程、飛んでいたなにかは、大きな人の形になった。
「お前は、ムサシの手下か。俺を回収するな。でないと―—―」
大男が何かを言おうとしたその時———謎野は、持っていた取材用の万年筆で
大男に何かを描いた。そして、それをスマホで撮った。
ピカッ!強い光が輝き、たちまち大男は消えた。町は変わらない。由美子たちは、
何も知らない。そして、毎日カフェに行くまでは至らなくなった。謎野は、
またどこかへ歩き始めた―—―
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