第2話 リメイク?

「異世界に行ってみないか?」


やはりというか何と言うか、お決まりな展開になってしまった。


目の前には顎髭を伸ばしたヨボヨボの爺さんが立っている。


「あー、えーと、行きます」

「そうじゃのう、急に死におってそんな事言われたら悩む...え!行くの?」

「はい、行きます」

「まじか...」

ちょっと未練はあるが、正直なところ異世界には興味があった。

「まあお前さんが行きたいと言うならワシは拒んだりしないが、ちとばかしお前さんの死因には不可解なところがあってだな」

「不可解なところ、ですか?」

今思えば不思議な死に方だったと思う。

暴走したトラックに標的にされ、まるで俺に語りかけるように迫ってきたあの場面。


「思い出しただけでゾッとするわ」

ちょっと震えた


「どうせお前さんはファンタジーとか好きそうだし説明は省くが、お前さんを襲ったトラックには明らかに魔力が込められていた」

「魔力...?」

おいおい本当にファンタジーかよ。

「しかもあの犯行は意図的じゃ。じゃが地球では魔力は存在しないはずなんじゃがのう...」

つまり俺は本当に何者かに狙われていた、という事になるのか

「俺ってなんか異世界人に恨みを買うような事しましたかね」

「いや、干渉もできないはずじゃよ」

うーん、分からんぞー?

「そういう事じゃからお前さんが今の状態で異世界に行くとなかなか変なことに巻き込まれる可能性が高いんじゃ、そこで!お前さんに一つだけ能力をあたえることにした!」

お、この展開はあれか?魔法無限に打てるとか、凄い剣の才能に恵まれるとかか?それとも俺にしかない魔法を打ったり...

「じゃあ、俺は無双できるような能力を!」

「しかし、能力は完全ランダムじゃ。そんな自分で何でもかんでも決められるわけないじゃろ」

あ、ハイ。

「まあ、使えない能力は入ってないはずじゃからそこまで失敗することはないぞ」

「贅沢は言いません...」

ちょっと残念だが、異世界に行けるってだけでいいのかもしれない

「じゃあお前さんを異世界に送るぞ?死んだらまたここに戻って来る事になるが」

「あー、ちょっと待ってもらっていいですか。まだ異世界がどんな所とかの質問が」


「ごめん、もう転送はじまっちったわ」


てへっと舌を出すジジイ



「は、おい待て待て待て、俺なんもわからんって何してんのこのジジイ!」

「はー!?神様に向かってジジイとはなんじゃ無礼なやつじゃのう!大体お前さんが異世界行くって即決したのがいけないんじゃろ!」

「おいジジイ本当に大丈夫なんだろうな!リスポーンして即死とかありえんからな!!!」



「あ、座標設定しとらんかったな...」



「ジジイぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

俺は異世界に飛ばされた。

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物真似スキルで異世界の神様にラリアットするお話 橘バナナ @tatibana_123

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