艶の彩一夜

千恵花

第1話 誰

すっと伸ばした手が

部屋の灯り落とし

蒼い闇夜に変わる

白いシーツの

波間を

泳いで漂い

深く沈みゆく私の

身体を

強く掴んで胸に

引き寄せるのは


その胸の中

乱れる髪を撫でて

肩から

背に流れ

腰への曲線を

辿る指先

下りては上がり

また下りていく

辿る指先の

痕には

悦び

教えてくれたのは


零れる吐息

桜色して

ひとつ溢せば

濡れる唇が触れる

熱を帯びて

吐息が深紅に変わる頃

強く強く

唇を塞いだのは


夢のように流れて

夢のように零れて

夢のように溢れて

夢のように煌めいて

夢のように

大きく息をついた

夢のような夢の中


あなたは 誰

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艶の彩一夜 千恵花 @caorinhana

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