魔王たるもの
勇者に倒される運命を象る者、
それが僕の配役だ
強者で在りながら、多数の為の生贄となる存在
それが少数の王としての道
別に死を望んでいるわけではない
多数側に堕ち、
沈む天秤の皿の要素の一つに混じれたら
どんなに楽だったか
でも、僕にも守りたいものがある
守りたいものがある
そのものたちが、幸福のレールに戻れる確率があるのなら
僕がその礎になればいいだけだ
僕が、少数の中の更に少数に属し、
悪という色を濃く、
どこまでも淀んでいけばいい
僕だけが悪だと際立ち、
僕だけが排除されるべきものだと認識されればいい
そうやって一人だけ突出した悪ができあがれば、
きっと守りたかったものたちを守り抜ける
だから僕は唯一の悪を背負って魔王となる
自己犠牲だと綺麗事に見えるかもしれない
でも、これはただの
ただ、相手の気持ちなど考えず、
僕視点で守りたいと願い、
僕自身が悲しくないようにしているだけの、
だから、僕が勝手に逝くのも
悲しいことではない
僕なりの誇らしい自己満足な最期を
堪能しているだけなのだから
前を向いて死ぬ為、悔いなく死ぬ為、
僕は絶対の悪の魔王として勇者に殺され、
魔王という名の被害者になる
花弁 ーpétaleー 戀月 唯(rengetsu yu_i) @solus
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